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壊したくないから1


「ここがユウナのホームか。いいところじゃないか」

ダチは村を見渡して、晴れやかに言った。
2年前にサヌビア砂漠にあったホームを失ってから、アルベド族はスピラの各地に散っている。
自由気ままではあるが、帰る場所のない淋しさもあった。
ユウナたちは、ルールーの家へ急いだ。

「魔物は?」

「寺院の奥から出てくるわ。でも、大丈夫。ワッカたちが片付けてくれた。幸い、ケガ人もいないし」

落ち着いたルールーの態度に、ダチは出鼻をくじかれて肩を落とす。

「お助け屋カモメ団、出番なしか」

「逃げた魔物が近くをうろついている可能性もあるの。ワッカたちが調べてる。協力してあげて」

「カモメ団に任せてくれ。格安料金で引き受けるぞ」

「はいはい」

商売っ気丸出しのダチにルールーは額を押さえる。そのやり取りに、ユウナは「ごめんね」と笑う。

「いいのよ。じゃあ、見回りお願いね。ユウナの姿を見れば、村のみんなも安心するから」

「うん」

村の中心で、4人は顔を付き合わせる。

「とりあえず、手分けして村の周りを見てみましょう。一人じゃ危ないから、二人でね」

「リュック、行くぞ」

「ほ〜い」

パインはリュックと共に、村の中を見回った。ユウナはアヤと村の外へ出た。
一周して戻って来ると、村の入り口付近にしゃがんでるシンラを見つける。

「ここにも設置したの?」

「うん、いざってとき、便利だし」

「それって、シンラ君の発明?あちこちに置いてたよね」

『シンラ!転んで泣いてないか?』

ふいに、スフィアからアニキの声がした。

「ちょうどいい実験体だし」

『おお!ユウナが映った!?』

「へ?」

「この通信スフィアは、飛空艇に映像を送ってる」

「そうなんだーー」

スフィアの傍にしゃがむと、試しに手を振ってみる。

『おおーーっ!ユウナ、もっと、もっと!!』

「愚かだし」

興奮するアニキに、シンラは冷たい視線を送る。そこへ、リュックが走って来る。

「ユウナんユウナん〜なんかまずいよ〜」

「魔物が見つかったのかな」

「シンラ、危ないルールーの家に居なさい。ダチが居るから」

「うん、わかった」

アヤの命に、シンラは素直に頷いた。


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