お熱いのはお好き? 2 偽情報を流してルブラン一味が動き出すのを待つ間に、ルールーの様子を見てきたらどうだとアヤが提案した。 反対意見などあろうはずもなく、一味を見張るためアヤを幻光河で下ろしたあと、ユウナたちはビサイト島へ飛んだ。 アニキとダチを連絡要員としてセルシウスへ残し、村へと向かう。 歩いていると、村の入り口付近で、ビサイトオーラカの面々と出くわした。 彼らはユウナたちに気づき、笑顔で駆け寄ってくる。 「スフィア、青年同盟に返してくれたんだって?」 「やっぱ、ユウナちゃんは俺たちの味方がよなぁ」 ダットとジャッシュの言葉に、ユウナは首を傾げる。 「どういうこと?」 「ビサイト・オーラカは、青年同盟に入ったんだ」 「ま、名前だけみたいなもんだけど。ワッカさんも入ってないし」 「そりゃそうさ。子供が生まれるって時に、党だの同盟だのって、空騒ぎしてる時じゃないよ」 「空騒ぎだと?」 オーラカの後ろから、見知らぬ男が現れた。 「あの人は?」 「俺は、ベクレム。青年同盟の本部から派遣された者だ。こいつらのぶったるんだ根性に、気合を入れるためにな」 自ら名乗ったベクレムは、顔の上半分を防護の面をつけていて表情が分かりにくい。 だが、面から覗く眼は、ユウナたちに対して友好的でないことがよくわかった。 「ワッカさんの100倍キビシィっす」 レッティのぼやきが耳に入ったのか 「戦闘訓練をサボって無駄話とは、みんな、よほど腕に自信があるようだな。いいだろう。なら、さっそく実力を見せてもらおうか」 そう言われ、オーラカの面々は押し黙ってしまう。 「ふん、情けない連中だ」 「や〜な雰囲気」 「・・・だね」 「行こう、ユウナ」 「じゃあね、ユウナちゃん」 キッパは、無意識に円を描きお辞儀をした。それをみたベクレムは 「それはやめろ!!」 と、激昂した。 それは、スピラに生まれた大多数の人間の習慣のようなものだろう。 青年同盟に加入はしたが、長年の習慣はなかなか抜けるものではない。 「もう寺院の時代じゃない。そんな古いしきたりは、さっさと捨てることだ。むやみに召喚士を拝むのも、時代遅れだな。召喚士なんて、過去の存在だよ」 ベクレムに吐き捨てるように言われ、リュックの眉がつり上がる。 「なにそれ、今が誰のナギ節だと思ってるわけ?」 「もう召喚獣はいないんだ。となれば、召喚士など役立たずさ」 役立たずーーー思うより先に、言葉がユウナの口を衝く。 「その言葉、取り消して下さい」 「いいとも。役立たずじゃないと、あんた自信が証明してくれたらな」 どうやってーーと言いかけた時、通信機が鳴る。 「ユウナ、アヤから連絡があった。ルブランの手下が動いた。例の場所に向かうぞ」 「わかった、すぐ戻るね」 「逃げるのか?」 「逃げません。役立たずじゃないと、証明して見せます」 ユウナが宣言すると、上空をセルシウスが覆った。 . [*前へ][次へ#] |