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鋼の錬金術師
洞窟の謎2


怪物が全て土に吸い込まれると、アルフォンスはエドワードに向き直った。

「少し見た目は違うけど、リオールで会ったのと同じ怪物…だよね」

「人間に化けてたって云うのかよ。何なんだ、コイツら」

エドワードは、険しい表情で腕を組む。

「何か言ってたよね。メイレイがどうとか」

「メイレイ?『命令』のことか?『誰』に『何』を命令されたってんだ?
命令を実行出来るってことは、怪物には知能があるのか?」

「う〜ん……」

考え込むアルフォンスに、エドワードは洞窟の入り口を一瞥した。

「……ここで悩んでてもしょうがないか。怪物の正体を突きとめねえとな」

入り口に掛けてあるランプをひとつ手に取ると、エドワードは洞窟の中へ入って行く。
アルフォンスも、後に続いた。







洞窟は、入るとすぐに広い空洞がある。
その空洞の先が細かく枝分かれしており、複雑な地形を作っていた。

昔は鉱物資源が穫れたのだが、今は掘り尽くされ近寄る者はいない。
だが、ごく最近何者かが入り込んだらしい。
洞窟のあちらこちらに、入り口にあったランプと同じ物が、弱々しい明かりを灯していた。

その薄明かりの先を、アルフォンスは指差した。


「兄さん、あの人!!」

「あれは、リオールで会った指輪の!」

「…………」

リオールに現れた時と同じように、女はただ静かに佇んでいる。
ふたりは走り寄った。

「あんた、一体何なんだッ!どうして、俺たちの前に現れるッ!」

問い詰めるエドワードに、悲しい視線を向けると

「お願い…助けて……あの人たちを…」

耳を澄まさないと聞こえない、悲しみに満ちた弱々しい声。
その言葉に、眉を顰める。


 ・・・・・
「あの人たち?あの人たちって、誰のことだよ!」

それには答えず、彼女は続けた。

「このままだと……この村も大変なことに……扉の‥先に…」
そう云うと踵を返し、坑道の中へ入って行く。

「あ、ちょっと待って!」

声を掛けながら、アルフォンスは後を追う。だが

「あれ?いない‥」

「消えた‥のか」

女が消えた先には、見知らぬ扉が坑道を塞いでいた。

「もしかして、この扉の先に?ねえ兄さん。ボクたちが子供の頃は、こんな扉なかったよね」

「…とにかく、開けてみるか」







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あきゅろす。
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