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鋼の錬金術師
洞窟の謎1


薄暗いランプに照らされた洞窟の入り口に、人影が見えた。


「兄さん、誰かいるよ」

目を凝らしてみると、確かに数人の男女が立っている。

「なっ!?何やってんだ、アイツら!!怪物のこと、聞いてないのか?」

エドワードは声を荒げ、走り出した。





「何してんだよ、こんなところで!!急いでここから離れるんだ!!」

「・・・・・」

エドワードが怒鳴っても、男は焦点の定まらない虚ろな眼を向けるだけだ。

「早く避難して下さい!この辺りに、怪物が出たらしいんです!!」

アルフォンスが言っても、反応はない。
痺れを切らしたエドワードが、強引に避難させようと近づいた。


「・・メイレイ・・ココハ・・・トオサヌ・・」


「は?何言ってんだよ。こんな所に突っ立ってないで、すぐに家に帰れって!!」

男たちを見渡して、いま来た道を指差した。
だが、相変わらず彼らは何の反応もない。

「……ねえ兄さん。この人たち、リゼンブールの人?」

その問いに、エドワードも彼らの顔をジロジロと見る。

「そう言われてみりゃ…見たことない顔ばかりだな‥」

思わず一歩後退ると、一番手前にいる男の身体が左右に揺れ始め、感情のないくぐもった声が漏れ出した。


「メイレイ・・ココハ・ダレモ・トオサヌ・・・・ゥグガアアアア!」



苦し気に頭を抱えると同時に、彼らの身体が光始める。
その光が消えると、リオールで遭遇した黒い怪物に似た姿が現れた。

「兄さん!この人たち!!」


「ーー!?コイツらが怪物かっ!!来るぞっ、アル!!」


アルフォンスが身構えると、エドワードは両手を打ち合わせた後、地面につける。
地面から両手を離すと、その手に吸い寄せられるように、剣が錬成された。

リオールで遭遇した子供程の背丈の怪物と違い、目の前の怪物は大人の男性程の身長がある。
おまけに両腕の先が杵のようになっており、エドワードの頭目掛けてそれを振り下ろしてきた。

「このォッ!!」

剣で受け止めると、振り払い様、蹴りを喰らわせる。

「えいッ!!」

2体同時に襲ってきた怪物を左肘で止め、右拳で殴りつけた。

ウガァーー!

もんどり打って地面倒れると、身体がゼリーのように崩れた。






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あきゅろす。
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