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鋼の錬金術師
帰郷3

「あ〜、やっぱ護衛なんて、いらなかったよな。早く腕を直して、少佐とおさらばしたいもんだ」

アルフォンスとアームストロングが追い付くと、エドワードはうんざりした様子で言った。
それを聞いたアームストロングは、くわっと眼を見開いた。

「何を言う、エドワード・エルリック。他人の手を借りること。それは決して、恥ではないぞ」

エドワードは振り返ると、アームストロングを見上げた。

「自分の弱さを謙虚に認め、時には、素直に他人の助力を得る。それもまた、その者の強さだ」

「わ、分かった分かった……」

説教が長引かぬよう、エドワードは慌てて同意した。アームストロングは、満足気に頷く。


「ところで、我輩は機械鎧の整備士とやらを見るのは、初めてでな」

「あ、私もよ。ねえ、まだ遠いの?」

「向こうに家が見えるだろ?あれがそうだよ」

エドワードは、一本道の先を指差した。
指の先に、二階建ての家が見える。
家の前で、道はふたつに分かれていた。

「昔からの馴染みで、安くしてくれるし。いい腕してるよ」

懐かしそうに言うエドワードに、マリーゴールドの口元も綻ぶ。

「へぇ……どんな人だろう?」

マリーゴールドは、勝手に機械鎧の職人像を、頭に思い描いた。

「じゃ、行こうぜ」












家の前に、小柄な老女が立っていた。
手には、煙管を持っている。
その老女に向かって、エドワードは手を上げた。

「よう、ピナコばっちゃん!また、頼むよ」

「ばっちゃん、久しぶり――」

アルフォンスも、嬉しそうに声を掛ける。

「よく来たね。元気そうじゃないか!」

煙管をふかしながら、ピナコはニッと笑った。
アームストロングは、傍らにアルフォンスの入った木箱を下ろし、直立不動の姿勢をとった。

「お初にお目にかかります。我輩、アレックス・ルイ・アームストロングと申します」

礼儀正しいアームストロングに、嬉しそうに目を細めた。

「ピナコ・ロックベルだよ。よろしく。しかし――」

アームストロングと、その隣りに並ぶエドワードを交互に見る。

「しばらく見ない間に、エドはちっさくなったねえ」

自分よりは大きいエドワードとアームストロングを見比べ、ピナコは楽しそうに言った。
エドワードは、目を三角にして拳を振り上げる。

「な―――っ!!誰がちっさいって!?このミニマムババ!!」

ピナコも負けていない。
エドワードの鼻先で、言い返す。

「いったね、ドちび!マイクロちび!!」

「豆粒ババア!!ミジンコババア!!」

しばらく互いに罵り合っていたが、それを呆気にとられて見ているマリーゴールドに目をやった。

「で、こっちのお嬢さんは?」





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