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鋼の錬金術師
逢魔が時03

右肩から、強い電流が流れるような衝撃が走った。

「あ…………」

その衝撃が身体中の神経に伝わったのは、すぐだった。
「………!!くっ………!!」

声を上げることすら出来ず、エドワードは男の前に平伏した。

「に、兄さん!!」

今一度、悲鳴のようにエドワードの名を呼んだ。
動けない自分を、避難するかの如く。
しかし、動けたところであの男にかなうのか?
アルフォンスは、砕かれなかった右手を握りしめる。


「神に祈る間をやろう」

サングラスの奥から、冷たい視線で慈悲をかける。
雨に濡れる地面を見ながら、エドワードは呟いた。

「生憎だけど、祈りたい神サマがいないんでね。アンタが狙ってるのは、俺だけか?弟も殺す気か?」

「邪魔をするなら排除するが、今、用があるのは鋼の錬金術師。貴様だけだ」

男の短い髪や上着から、絶え間なく雫が落ちる。
エドワードも、びしょ濡れだった。

「そうか。じゃあ、約束しろ。弟には、手を出さないと」

「約束は守ろう」

それを聞いて、アルフォンスは必死に前へ進もうとする。
だが、立つことすら出来ずにすぐに片手をついた。

「兄さん!!何言ってんだよ!!逃げろよ!!立って逃げるんだよ!!」

弟の悲痛な叫びも耳に入らないのか、男はエドワードに左手を翳す。
エドワードも観念したのか、身動きひとつしない。


「滅ぶべし――鋼の錬金術師!!」


「やめろ。やめてくれ!!やめろおおおおおおおおお!!!」





アルフォンスの声を、雨が掻き消したその時



ドン――――ッ!!!!

湿った空気に、銃声が響いた。

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