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鋼の錬金術師
逢魔が時02

「――はっ!?お前は、額に傷の――!!」

憲兵は、サーベルに手を掛けた。

「あ、よせ!!」

見たことのない男だった。だが、とっさに憲兵を止めた。
理由はわからない。
ただ―――身体中の神経が、危険信号を発していた。



この男は――ヤバい!!



「ふん――っ!!」

男の右手が、憲兵に触れた。

「ぎゃあああああ――!!」

一瞬のうちに、辺りは血の海になった。
憲兵の身体は、雨に濡れる地面に倒れ込む。
倒れた身体は何度か痙攣したあと、ピクリとも動かなくなった。




 な、何なんだ。コイツは――




「エドワード・エルリック。神の道に背きし錬金術師……滅ぶべし!!」

立ちはだかる男に、エドワードとアルフォンスは僅かに後退りながら構えた。
憲兵から流れ出た大量の血は、雨で洗い流されていく。
それでも、辺りに漂う血の匂いは消えなかった。
その匂いに、顔が歪む。

「アンタ、何者だ。何で俺を狙う!!」

恐怖を感じながらも、エドワードは隙を伺う。

「貴様ら“創る者”がいれば、“壊す者”もいる。そういうことだ」

エドワードは、アルフォンスを一瞥する。

「やるしかねえ……てか。いくぞ!!アル!!」

「いい度胸だ」

男はそう呟くと、向かって来るエドワードに対し、右手を地面につける。
手をつけた場所から赤い光がおこり、地割れのように大地が裂ける。

「うわっ!!」

足下を掬われ、エドワードは後ろへ倒れる。

「兄さ―――っ!!」

男は素早く、アルフォンスに接近した。
右脇腹に、赤い光――

「っ―――!!」

「アル――!!!!」


脇腹から足まで無惨に鎧を抉られ、アルフォンスは立っていることが出来ずに地面に崩れ落ちる。

「ヤロオオオォォォッ!!!」


「ふん。両の手で輪を作り、循環させた力をもって錬成するわけか」

男は、エドワードを冷静に観察している。

「ならば、まずはその右手を破壊させてもらう!!」

「させるかっ!!」

機械鎧の右手で、エドワードは殴りかかった。



「―――!!」



「兄さん――ッ!!」

アルフォンスは、悲鳴を上げた。

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