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鋼の錬金術師
綴命の錬金術師03

壁際に、机が置かれていた。
棚に入りきらなかった本が、机の廻りに無造作に積まれていた。
その机の横に、アルフォンスは立っていた。
エドワードとマリーゴールドは、アルフォンスの足下に目を見張る。

「これは…血痕?匂いの正体はこれか」

「……っ!!」

悲鳴を上げそうになったマリーゴールドは、口元を両手で押さえた。

「いったい、何があったんだ‥」

床に広がった、夥しい血痕を見つめる。
その血溜まりの隅に、レンズの割れたメガネが落ちていた。それを、アルフォンスは指差す。

「兄さん、このメガネ、タッカーさんのなんじゃ?」

書類に貼ってあったタッカーの写真も、同じようなメガネを掛けていた。エドワードは、腕を組む。


「この血痕が、タッカーさんのものだとしたら……
これだけの出血で、無事で済んでいる筈がーーおわっ!!」

急に、背中にのし掛かられて、エドワードは前屈みになった。

「マリィ!?」

アルフォンスが叫ぶと、エドワードの背中から、マリーゴールドの身体が滑り落ちて来る。
エドワードは、慌てて抱き止めた。

「おいっ!?マリィ!!」

腕の中に崩れ落ちたマリーゴールドは、青白い顔で固く瞼を閉じていた。指先が、氷のように冷たい。

「……貧血みたいだな。とりあえず、リビングに運ぼう」

2人は、マリーゴールドをリビングのソファーに寝かせた。
エドワードは赤いコートを脱ぐと、マリーゴールドの身体に掛ける。
書斎と同様に、リビングも散らかり放題だった。
顔に掛かる髪を、そっとのけた。

「兄さん、大丈夫かな……?」

心配そうに、アルフォンスが顔を覗き込む。




ーーウウォォオオオオオッッ!!!




「ーーッ!?」

呻き声とも叫び声ともつかない、ブキミな音が屋敷の中に響いた。

「な、何っ!?今の変な声っ!?」

アルフォンスが、慌てて辺りを見渡した。




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