鋼の錬金術師 綴命の錬金術師02 「やっぱり、誰もいないか……」 入ってすぐ右手にある階段を見上げながら、エドワードは呟いた。2階にも、人の気配はなさそうだ。 左手にあるリビングも覗いたが、誰も居ない。 「家の中も、特に変わった様子もないし。ただ戸締まりを忘れて出掛けちゃっただけじゃない?」 あまり掃除をしていないのか、薄く埃の積もった廊下を奥へ進んだ。 突き当たりは、書斎になっていた。小さな図書館並みの、蔵書の数だ。 「凄い……」 エドワードとアルフォンスは、棚を見て回る。 マリーゴールドも、つられて棚の蔵書を見上げた。 動物学、解剖学、組織学などの専門書が、所狭しと並んでいる。 背表紙を読んだだけで、マリーゴールドは目眩がした。 「……難し過ぎる。わけ分かんない……」 その時、ふと何かが鼻についた。 「ねえエド‥なんか匂わない?」 埃臭さとは別に、生臭い匂いがした。 マリーゴールドがそう言うと、エドワードはフンフンと鼻を鳴らし、匂いを嗅いだ。 「…あぁ…匂うな」 鉄分を含んだ、覚えのある匂い。エドワードの顔が歪む。すると、アルフォンスの声がした。 「兄さん、マリィ、こっちに来て!!」 _ [*前へ][次へ#] |