鋼の錬金術師 綴命の錬金術師01 「ここが、タッカーさんの家だね」 軍用車で、タッカー邸まで送迎して貰った3人は、玄関の前に立った。 「やけに静かだな。まさか、留守じゃねーだろうな」 エドワードは、家というより屋敷といった方が良い程の、豪邸を見上げた。 「こんちはー!タッカーさーん!!」 呼び鈴を鳴らし、何度も声を掛ける。 だが、呼び鈴が鳴り響くだけで、誰も出て来る気配はない。 「誰も出て来ないわね。もしかして、本当に留守なのかも」 マリーゴールドが、エドワードを見る。 「おいおい、冗談じゃねーぞ。ん?」 何気なく押した、扉が動いた。 「カギは開いてるな…」 扉を押し、中へ入った。 「あ、ちょっ、兄さん!勝手に入っちゃダメだってば!!」 「こんちはー。タッカーさ〜ん、コンニチハー!!」 玄関で声を張り上げが、返って来る声はない。 「……………」 「……………」 アルフォンスとマリーゴールドは、顔を見合わせる。 「返事はなし、か」 家の中は、不気味な程静まり返っている。 理由は分からないが、3人は緊張した。 その緊張を和らげるように、アルフォンスは明るく言う。 「留守なんだよ、やっぱり」 「じゃあ、なんでカギが開いてんだよ。それになんだか、様子が変だ。アル、マリィ、ちょっと行ってみようぜ」 振り返らずに、エドワードは歩き出した。 「エ、エド!?」 「おっ邪魔しまーす!!」 マリーゴールドが引き止めようとしたが、エドワードはズカズカと家の中へ入って行った。 「いいのかなあ………」 礼儀正しいアルフォンスは、兄の不作法に呟いた。 _ [*前へ][次へ#] |