[通常モード] [URL送信]

鋼の錬金術師
     02


「成る程。何故、こんなガキが“鋼”などと云う、厳つい称号なのか。不思議でならなかったが…」

コーネロは、勝ち誇ったように笑う。

「ロゼ、この者たちはな。“人体錬成”を、錬金術師、最大の禁忌を犯しおったのよ!!」

「えっ!?」

マリーゴールドとロゼが、同時に叫ぶ。
ロゼは驚きに満ちた瞳で
マリーゴールドは、何かを思い出すように


何も言わずに、コーネロを睨みつけているエドワードに代わり、アルフォンスが語る。

「人体錬成の過程で、ボクは全身を……兄さんは左足を持っていかれた」

「持っていかれた…」

虚ろな視線で、マリーゴールドは呟く。
ロゼは、言葉も出ない。

「兄さんは、左足を失う重傷をおった。その身体で、ボクの魂を自分の右腕と引き換えに錬成して、この鎧に定着させたんだ」

「へっ…2人がかりで、1人の人間を甦らせようとして、このザマだ…」

エドワードは、嘲笑う。
過ちを犯した、自分を

「ロゼ、人を甦らせるってのは、こういうことだ」

彼女を見据え、声を強める。


「その覚悟があるのか?アンタには!!」


「…!!」

「…!!」

ロゼと、何故かマリーゴールドも、ビクリと身体を震わせた。

「ええいっ、黙れ!!黙らぬか!!神に近づき過ぎ、地に墜とされた愚か者どもめ!!
ならばこの私が、今度はしっかりと神の元へ、送り届けてやろう」

コーネロは、持っている杖を振り上げる。

「合成獣よ!!奴らを八つ裂きにしろ!!」

エドワードに蹴り飛ばされた合成獣が、いつの間にか起き上がり、低く構えていた。
前足の鋭い牙を、床で研いでいる。


パンッ!!


合成獣に気をとられていたマリーゴールドは、その音に気づき、エドワードを見る。
エドワードは両手を合わせた後、左手を床に着けた。
その手を離すと、吸い寄せられるように、槍が錬成された。

合成獣はいきなり、口から炎を吐き出した。

「きゃぁあっ!!」

「マリィ!!」

アルフォンスが、マリーゴールドの前に立つ。

「アル!マリィ!!この野郎っ!!」

炎を吐き出す合成獣の肩口に、槍を突き立てた。

ギャアアアァ

叫び声をあげて、合成獣が怯んだ。

「マリィ!早く柱の影に!!」

そう言うと、アルフォンスはエドワードの元に走る。

「う、うん」

マリーゴールドは、言われた通り柱の影に隠れた。
血を流しながら起き上がった合成獣は、後ろ足で立ち上がると、エドワードに突っ込んだ。

グゥオオオオ

口から覗く鋭い牙が、エドワードの頭上から迫る。

「うおっ!」

「兄さん!!」

ドンッ!!

と音がして、アルフォンスが合成獣の真横から、体当たりした。
血を撒き散らして床を転がると、ガンッと壁にぶち当たった。
合成獣は、そのまま動かなくなる。
床は、血の海となった。

_

[*前へ][次へ#]

23/34ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!