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鋼の錬金術師
石の記憶2

案の定、ホールの先には続きがあった。灯りひとつない暗闇を、躊躇わずに進んで行く。

「大佐たち、大丈夫かな?ねえ兄さん、大丈夫かな!?」

後ろを振り向きながら、アルフォンスが問う。

「ちょっとやそっとじゃ、あの3人がやられるわけねーよっ。いくぞ」

「うん」



恐らく、ここが塔の最深部だろう。扉のないその部屋に、赤い石はあった。





大きなーー大きな赤い石




エルマの言葉に嘘はなかった。
何人の血を吸ったのだろう。
赤々と輝く石は、部屋の中央に神のごとく鎮座している。




「すげえな・・まるで血の色だ。なんか、気分が悪くなってくるーー」

エドワードは口許を押さえるが、アーレンは落ち着いて部屋を観察している。

「エドーー」

「あぁ。これだな。大きな赤い石ーー」

石に近寄り、見上げる。

「クロウリーが造った、赤いエリクシル。これを壊せばーー」

「兄さん、あれ!」

部屋の奥に、ミイラが椅子に座っていた。ポッカリと空いた頭蓋骨の黒い眼が、こちらを見ている。

「ミイラだ。シャムシッドの王様・・かな?」

「かもしれねえな。けど、今は石をどうにかする方が先だ」

「でも、どうやって?」

「とりあえず、石を下ろそう」

「手伝う」

「迂闊に触っちゃ危ないよ」

「大佐たちもいつまで持ちこたえらるかわかんねえ。グズグズしてたらーー」

エドワードと マリーゴールド は、石に触れた。


「ーーーっ!!!」

「えーーーっ!!!」

「兄さん!? マリィ !?兄さん!!兄さん!!兄さんーーー!!!」


目の前の赤い光が、エドワードと マリーゴールド を包み込んだ。


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