[通常モード] [URL送信]

鋼の錬金術師
  04


「あ………」

ロゼは、信頼する側近たちの行動に、言葉を失っていた。

「神様の正体みたり…だな」

気を失っている側近たちを見下ろし、エドワードは呟いた。

「そんな‥何かの間違いよ!コーネロ様が、このようなことをお命じになる筈が‥!」

そう言いながら、ロゼは否定の言葉を、最後まで言い切れなかった。

「………」

アルフォンスとマリーゴールドは、痛まし気に彼女を見る。

「コーネロ様は、お優しい方なんです!身寄りのない私に、手を差し伸べて下さったんです!
『奇跡の業』で、あの人を甦えらせてくれるって、教主様は約束してくれたんです!!」


震えながら、教主を信じる理由を語る。



人が、甦ることなどーー有りはしないのに



「あーもー!このねーちゃんは、ここまでされて、まだペテン教主を信じるかね」

「でも‥でも‥」

諦め切れずに、呟く。

「信じることをやめたら、あの人が‥」


「ロゼ…信実を見る勇気はあるかい?」

エドワードの金色の眼差しに、ロゼは戸惑う。

「………」





「マリィ、あんたは帰った方がいい。扉は、俺が開けてやる」

エドワードは、扉に近づいた。
手を合わせて錬金術を発動させようとすると、マリーゴールドがそれを止めた。

「待って、エド。私も一緒に連れて行って」

「しかし」

「お願い」

エドワードは躊躇うが、マリーゴールドは食い下がった。

「何でだ?レト教に、入信しに来たわけじゃないだろ?」

「ち、違うよ!」

慌てて、両手を振って否定した。
エドワードは、それを探るように見つめる。

「……足手まといにはならないから!お願い」

すがるような眼差しで見られ、仕方がないとため息をつく。

「………わかったよ。俺から、離れるなよ」

「ありがとう!エド!!」

「うわっ!」

マリーゴールドが、抱きついて来た。
彼女の絹糸のような髪が、さらさらと頬を撫でる。
ストロベリー・ブロンドの髪の名のせいか、甘い香りが漂った気がした。


_

[*前へ][次へ#]

14/34ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!