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鋼の錬金術師
愛しいヒト3


錬成陣が青く光る。


「うえぇ・・ダメだ・・やっぱ慣れねえーーあ〜気持ちわりぃ・・・」

開口一番に、エドワードは膝に手をついて言った。 マリーゴールド がコートの上から背中を擦る。

「どうした?今ので酔ったのか?だらしねえなぁ」

「俺はじーさんと違って、デリケートなんだよ」

愉快そうに言うアーレンをエドワードは恨めしそうに睨みつける。
錬成陣を離れ、部屋を見渡す。やはりここも、移動するだけの部屋のようだ。
マリーゴールドは 錬成陣を振り返り

「ねえ、大佐やリザさんたちが来ないわ」

「ほんとだ。まさかまた、別の場所に飛ばされたんじゃ?」

アーレンも錬成陣を見る。が、やはり姿は現れない。

「いや、それはない。あの錬成陣はここへ来る。他には行き場所はない筈だ」

「術師は2人いるんだ、そのうち来るだろ。俺たちは先に進もう」


僅かな時間休み、一方通行の通路を進む。
先頭はアーレンとエドワード。マリーゴールドを挟み殿にアルフォンス。

「ーーアームストロング少佐とアルとじーさん?なんか暑苦しいトリオだな」

「ひどいなぁ。兄さんこそ、大佐とケンカしてたんじゃないの?」

「エド、大佐と仲悪いの?そんな風には見えないけど」

「なっーー!なんつーこと言うんだマリーゴールド !!それじゃあ俺と大佐が仲良いみたいじゃねえか!!」

「違うの?」

「違うに決まってんだろ!!なぁアル」

「えぇ〜どうかな〜」


別々の錬成陣で移動した時のことを話しながら笑いさざめく。
3人の明るさを、どこかわざとらしくアーレンは感じていた。

前方に明かりが見えた。
照明などの人工の明かりではなく、穏やかで暖かな自然の光ーー

「ここは・・?」

「明るくて綺麗・・」

「ここが王妃様の部屋ーーですか?」


アーレンは中に入り、部屋です見渡した。
灯り取り窓からは暖かな太陽の光が差し込み、窓の下には小川が流れている。
床には花壇がしつらえてあり、白や黄色、オレンジ色の小さな花々が控えめに咲いていた。


優しさと慈しみに溢れた場所だ。


アーレンは眩しそうに目を細め言った。

「あぁ・・間違いない。ここは、王妃の部屋だ」

「・・じゃあ、この先にアイツがーー」


「あーー」

マリーゴールド が何かを見つけたのか、中央の丸い花壇に走って行く。

「 マリィ 、どうしたの?」

「見て、アル。この花」

後ろから歩いて来るアルフォンスに、 マリーゴールド はオレンジ色の花を指差す。

「この花がどうかしたの?」

「この花ね、ーー」


言い掛けたその時。突然、 マリーゴールド の足下が黒く染まり、あっという間に楕円に拡がる。

「ーー! マリィ !!」

アルフォンスは マリーゴールド を抱え、直ぐ様闇から離れる。

「兄さん!!」


果たして、闇の中から現れたのはーーー


「また会ったな。これで何度目だ?リゼンブールの時は逃げられちまったけど、今度はそうはいかねーぞ」

リオールとリゼンブールの洞窟で3人を襲った怪物の女。


ーーうううううぅぅぅ


低くうねりながら、女はエドワードを見据える。

「クロウリーはどこだ!?素直に教えてーーくれる気はサラサラなさそうだな」

「ーーいーーのーーちーー」

「え?」

うねる声の隙間から、切れ切れに声が聞こえる。

「いのーーちーーもらーうーーエリーークーーシーール」

「命、貰う?エリクシル?」


赤き錬成薬
永遠の命をも可能にする、究極の物質
生命の秘薬


「命が、エリクシルなの?」

「その胸の赤い石はーー誰かの魂なの?」

「私の中に、彼女がいるみたいに」


マリィ が呟いたその時



ーーガアアアァァッ!!!



雄叫びを上げ、女はエドワードに襲いかかる。

「小僧!!」

「アーレンさんは下がってて!! マリィ !アーレンさんを守って!!」

「うん!!」

「構えろアル!!来るぞ!!!」

エドワードは両手を合わせ、右手を鋼剣に替えた。




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あきゅろす。
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