鋼の錬金術師 優しき豪腕3 一頻り話した後、更に進もうと歩き出した時。 ふと、ゴーレムの残骸に目を止めたアーレンは、少し前から感じていたある事柄を思い出した。 それは、このシャムシッドの遺跡に来てから強くなっている。 「・・・・」 「どうしたんですか?アーレンさん」 立ち止まったアーレンに気づき、アルフォンスは声を掛ける。 アームストロングもこちらを振り返った。 「いや・・気になってたんだがーー」 「何がですか?」 云い澱むアーレンを促す。が、彼自身も疑惑に戸惑いを感じていた。 「・・・同じ匂いがするんだよ」 「同じ匂い?」 「何と、何が?」 「コイツらとーー」 ゴーレムの跡を指差す。 「あのーー マリーゴールド って娘だ」 『それは、真ですか?マスタング大佐! 』 マスタングの説明に、テントの中は一気に重く沈んだ空気になった。 『 断定は出来ないがーー当たらずとも遠からずだろう 』 『そんなーー 』 ホークアイは、言葉を失った。 ヒューズが調査し、マスタングがそう推測したのなら、おそらくそれが真実なのだろう。 『 アーレン・グロースターの 話では、錬成されたゴーレムは長くても1、2年で土に戻るそうだ 』 『 じゃあ、 マリィ はーー 』 その先を、誰も口にすることが出来なかった。ブレダたちもショックを隠せない。 ハボックは、エドワードを思い出していた。 ボードワンを出る時に見た彼の真剣な顔ーーー 大人びてみえるが、まだ子供だ。この事実に、彼は耐えられるだろうか。 『 それでも、我々はジャック・クロウリーを倒さねばならない 』 真っ直ぐに前を見据えて、ロイ・マスタングは云った。 「アーレンさん・・・それってどういうーーー」 「アルフォンス・エルリック、とにかく大佐たちと合流しよう。先へ進むぞ」 心の中の動揺を隠すように、アームストロングは踵を返した。 . [*前へ][次へ#] |