鋼の錬金術師 優しき豪腕1 転送の陣でとばされた場所は、静かにアームストロングを迎えた。 しばらく様子を伺っていたが、何も起こる気配はない。先に進むしかないようだ。 そう決意した時、錬成陣の文字が光り始める。 「むーー!!」 バサーーーッ!! アームストロングは軍服を脱ぎ捨て、逞しい上半身を露に構えた。 「あ、少佐!」 しかし、現れたのは鎧に魂を錬成されたアルフォンスだ。 その姿に、アームストロングは拳を下ろす。 「アルフォンス・エルリック。無事だったか」 「はい」 アルフォンスの次の姿を期待したが、陣の光りは消えていく。 「ところで、マスタング大佐とホークアイ中尉はどうしたのだ?エドワード・エルリックとも、一緒ではないようだが・・・」 「多分、別々の場所に飛ばされたんだと思います」 「そうかーー」 転送陣の説明をしていると、又しても錬成陣が光り始めた。 「錬成陣がーー」 緊張した声で言い、2人は構える。 「ふぅーー追い付いたか」 「なんとーー」 「アーレンさん!ついて来ちゃったんですか?」 現れたアーレンに、驚きながらも駆け寄った。 「あぁ、あの嬢ちゃんも一緒にーーあれ?」 「嬢ちゃんて・・まさか マリィ も一緒に!?」 「そうだ。俺ひとりじゃあの錬成陣は使えないからな」 それを聞いたアームストロングは、しばし考えを巡らすが 「来てしまったものは致し方がない。戻る方法もわからんしな。このまま進むしかあるまい。 それに、 マリィ 殿がマスタング大佐やエドワード・エルリックの元へ行ったならよいがーーーホークアイ中尉と2人きりなら、いくら軍事訓練を積んでいるとはいえ危険だ。一刻も早く合流した方が善かろう」 「そうですね」 「アーレン殿、我々から離れないでください」 「あぁ、わかった」 . [*前へ][次へ#] |