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鋼の錬金術師
再臨9



「あ!ちょっと!」

制止するホークアイの腕を振り切り、男に歩み寄った。

「クロウリー!」

「・・・?」

突然、声をかけてきた老人に、訝し気な視線を向けた。

「わからないのか。俺だよ、アーレンだよ」

「違う。私の知っているアーレンは、おまえのような老人ではない」

「何を言っている、当たり前だろう。あれから何十年経ってると思ってるんだ。
おかしいのは、あんたの方だ。いったいどうした?その姿は?」

「・・・・・」

「クロウリー!!」

老人の詰問に、戸惑いの色が浮かんだ。
思いも寄らない展開に、エドワードたちは成り行きを見守った。

「あ――っ!!」

しかし、リゼンブールの時と同様、地面に吸い込まれて行く。

「まただ・・・また、溶けるように消えちゃった」

「クロウリー・・・おまえ・・・」

男が消えた地面を、老人は見つめた。





墓地に静寂が戻ると、ホークアイは銃をホルダーに収めた。
隣りに目をやると、ハボックはガックリと肩を落として座り込んでいる。

「もう大丈夫みたいね。しっかりして、ハボック少尉」

事の成り行きについでいけず、かつ疲労困憊のハボックは、ホークアイの声も聞こえていないようだ。

焼け焦げてボロボロの軍服。擦り傷だらけの腕や顔。
その割に、あの老人は大したケガもなさそうだ。
老人を、必死で庇ったのだろう。
ホークアイは、ハボックの肩を軽く揺すった。

「大丈夫?」

ハッと我に返ると、照れ隠しにタバコを取り出し、火をつけた。

「大丈夫じゃないっスよ。俺の特別危険手当て、2倍にするように大佐に言ってくれませんかね。
こんなヤバい現場だなんて、聞いてないっスよ」

吐き出す煙りと共に愚痴を零す彼に、ホークアイは微笑んだ。



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