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鋼の錬金術師
再臨8


バサバサと羽ばたく音が辺りに響く中、墓地の片隅の土が、急に噴水の如く盛り上がる。

「――!?」

土は見る見るうちに、ヒトの形になった。

「兄さん、あいつは!」


プラチナブロンドの長い髪。黒いコート。胸に埋め込まれた、赤い石―――


「リゼンブールの時の!!」

再臨した男の姿に、ハボックの隣りにいる老人は目を見張った。

「アイツは――!!」



「おい!あんたがこの村を、ムチャクチャにしやがったのか!
リゼンブールも、こんな風にする気だったのか!?
あんたの目的は何だ!!あの錬成陣で、何を造った!!」

たたみかけるエドワードに、男は静かに言葉を返す。

「再び、逢うような気がしていた」

「ヤロー、わけわかんねえこと言ってんじゃねえっ!!」

両手を合わせ、今いち度、機械鎧を鋼剣に変えた。
それを見た男の口角が、微かに上がる。



 ・・・・
「おまえもか―――幼い錬金術師」



「ヤローッ!!」

男も両手を合わせると、右手を地面につける。
その地面から、鋼鉄と化した土が槍のように襲い掛かる。

とっさに壁を錬成するが、それを貫いてさらにエドワードに迫った。

「くそっ!!」

壁の向こうから転がり出ると、ジグザグに走り新手の攻撃をかいくぐって、男に迫る。

「くらえっ!!」

向かってきた鋼剣を、男は掌で止めた。

「――!?」

貫けない皮膚に、エドワードは目を見張る。


「私と、同じ目をしている」


一見、無表情な顔に、笑みが浮かんだように見えた。


「ぐはっ――!!」

男の足が、エドワードの身体を蹴り飛ばした。
宙を舞ったエドワードは、地面に叩きつけられ、声もなく転がる。

「兄さん!」

「エド!」

「エドワード君!」

アルフォンスが駆け寄ると、鳩尾を抑えて立ち上がった。
その姿を見る男の目には、非情の色が浮かんでいた。

「おまえに、私を止める資格などない」

冷たく言い放った時だった。

「・・・クロウリー。やっぱりクロウリーだ」





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あきゅろす。
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