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鋼の錬金術師
再臨4


「こんにちは〜誰かいますか〜?・・・って、誰もいないみて―だな」

しんと静まり中、エドワードたちは無遠慮に入り込む。
家の中に血痕はなく、玄関や廊下には、うっすらと埃が積もった段ボールが無造作に置かれていた。

「すでに村から逃げ出したか、それとも――」

廊下を抜けリビングへ入ると、天井まで届く本棚が、ズラリと壁に沿って並んでいた。

「凄い、本だらけ」

どの棚にもギッシリと書物が詰まっており、床にも山のように積まれていた。
書斎代わりなのだろう、隅に机が2つ並んでいる。
その机に、アルフォンスは近寄った。

「に、兄さん!ちょっとこれを見てよ!!」

壁に貼られた写真に気付くと、大声でエドワードを呼ぶ。
エドワードたちは、アルフォンスが指差す写真を見て、驚愕した。

「こ、これは!?」

「これって、どう見てもあの怪物よね」

写真は、壁画を撮影したものだった。
その壁画には、リゼンブールやリオールに現れた黒い怪物が、ハッキリと描かれている。

「その写真だけじゃないわ。この本にも、そっちの本にも、怪物についての記述がある」

机の上の、開かれたままの書物や書きかけのノートを見て、ホークアイが言った。

「これは、研究資料か?」

「研究資料って、あの怪物の?じゃあ、ここに住んでる人が怪物を作ったってこと?」

エドワードが書物を手にすると、後ろからアルフォンスは覗き込んだ。

「いや・・・それはないと思う」

「どうして?」

壁の写真を見ていたマリーゴールドが、訝し気に訊いた。

「錬金術に関する資料は一切ない。赤い石についても、何もなさそうだ。
怪物の作り方っていうより、歴史?古代史の研究をしていたみたいだ」

「古代史?」

「ねぇ兄さん。これは日記だよね?」

何気なく開いた本には、少し読みづらい文字が綴られている。

「・・・紙もインクも古いな」

ページを捲りながら、エドワードは呟いた。




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