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鋼の錬金術師
死の村4


「ひどいね・・兄さん・・・」

「あぁ。まさか、ここまでとは思わなかったな」

「司令部への報告以上だったわね。まずは、急いでハボック少尉を見つけないと」



村の中心へ近づいていく程、家屋の破壊が酷かった。
壁に飛び散った血痕。へし折られた大木が突き刺さった屋根。
その屋根には、血の臭いを嗅ぎ付けたカラスが、声高に鳴いている。

こんな事さえなければ、森に囲まれた静かな村だったであろう。
今は、どんよりと重苦しい空気の中、ホークアイを先頭に村道を進む。
すると、エドワードに隣を歩くアルフォンスの鎧の身体がぶつかった。

「なんだよアル。そんなに傍に寄られると、歩きにくいだろ」

「ボク、こういう雰囲気って苦手で・・・マリィは平気なの?」

ホークアイとエドワードたちに挟まれて歩くマリーゴールドは、肩ごしに2人を見る。

「うん。怖くないけど・・」

「けど?」

「血は、苦手かな・・」

青白い顔で答えた。
エドワードは腰が引けている弟をからかうような、意地の悪い笑みを向ける。

「なんだなんだ、臆病だなアルもマリィも。中尉を見てみろよ。女の人なのに全然ビビった様子もなくて――」

そう言ってホークアイに視線を戻すと、いつの間にか彼女はエドワードの額にピタリと銃口を向けていた。

「ちょちょちょ、ちゅ、ちゅ、中尉!!別に中尉を侮辱したわけじゃなくて!!!」

「に、兄さんっ!!」

「リザさん!」

3人の呼び掛けも耳に入らないのか、白く細い指は躊躇いなく引鉄を引いた。


ドンッドンッドンッドンッ―――!!!!

「きゃあっ!!」

「うわぁ!!」

「のわあぁぁぁあああっっ――!!!」

アルフォンスとマリーゴールドは、震えながら耳を押さえてうずくまった。
銃声がおさまると、背後で低い唸り声が聞こえ、どさりと黒い物体が倒れた。


「はあ、はあ、はあ、はあ――」

のけぞって銃弾をかわしたエドワードは、心臓を押さえながら振り向いた。

「―――っ!!」

「囲まれてる」

「こいつら、いつのまに」

銃声を合図にしたかのように、半壊した家屋からリゼンブールに現れたと同じ怪物が次々に姿を見せる。

「くるわよ!構えて!!」





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