鋼の錬金術師
ほら吹き 2
ハボックは一軒の家に近づいた。2階建てのその家は、歩いて来た道端の家々よりも立派なたたずまいだ。
これが、子どもたちが言っていた村長の家だろう。
くわえていた煙草の火を携帯灰皿で消すと、そのまま中へ押し込んだ。
呼び鈴を鳴らそうと手を伸ばした時、扉が開いた。
「お父さん、行って来ます」
「アーシャ、ハンスが戻っていたら、顔を見せるように言っておくれ」
「はい」
家の中から掛けられた声に返事をし、アーシャは玄関を出ようとした。
「ども」
目の前に立っていたハボックに驚き、思わず立ち止まる。
「あ…こんにちは…」
「村長さん、いますか?」
「はい…父なら、中に…」
ハボックは人懐っこい笑顔を向けたが、見慣れない軍服にアーシャは強張った顔のまま、視線を家の奥へ向ける。
「どうした?アーシャ」
初老の男が顔を出した。先程聞こえた声の主であろう。
「東方司令部から来ました、ジャン・ハボック少尉です。村長さん?」
「えぇ…そうですが…」
戸惑いを浮かべ、村道は長身のハボックを見上げた。
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