魔王様の腕の中
*
それから数分後――
さっきまであった書類の山は、見事になくなり、後は机に残った1枚だけになった。
「ヴァル〜、あと1枚だよ〜!」
「あぁ、待ってろ、ミオ。
・・・、よし終わった。」
「お疲れ、ヴァル〜。」
「お疲れ様です、ヴァルファリム様。」
「ミオっ!」
「ヴァル〜!」
むぎゅーと抱き合っていると、ぐ〜と僕のお腹がなってしまった。
「え、えへへ。
そういえば、お昼食べてないや。」
恥ずかしくて顔をヴァルの胸に埋める。
そうしたら頭を優しく撫でられた。
「じゃあ、食べに行こう。」
「うわっ!?ヴァ、ヴァルっ!?」
すっくと立ち上がったヴァルは、僕のことを抱き上げた。
僕は慌ててヴァルの服を掴む。
そうするとヴァルは満足そうに歩きだした。
しかも隣にいるレインさんはにこにこと微笑みながら僕たちを見続けている。
は、恥ずかしい・・・
そのまま廊下に出たからもちろん他の人ともすれ違うことになった。
そして決まって、僕たちとすれ違った人たちは微笑ましげな笑みを浮かべて見てくる。
僕は恥ずかしすぎて、顔を俯かせヴァルの胸元に額をあて、顔を隠した。
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