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魔王様の腕の中





「ヴァルっ。」



むぎゅっと勢いよく抱きつく。
ちょっと勢いつきすぎたかなと思ったけどヴァルは僕をしっかりと受けとめてくれた。


「ミオ、ミオ。」

「ん〜、苦しいよヴァル。」



限界だと胸を叩くと、力を緩めてくれた。



「ヴァル。さ、お仕事。」

「いや、もう少し・・。」

「だめっ!やらないと僕レインさんの側にいくもん。」

「それは駄目だ。」

「ほら、ヴァルファリム様。
やらないとミオ様は私の元に来てしまいますよ。
あ、これもですから。」


更に追い討ちをかけるかのようにレインさんは笑顔で書類を運んでくる。



「くっ。
見ていろ。こんなものすぐに終わしてやる。」

「頑張れ、ヴァル〜!。」

「その意気ですよ、ヴァルファリム様。」

「では、俺は帰るとしよう。じゃあなおちび。」

「あ、コーバさん。
あ、ありがとうございました。」


僕が慌ててお礼を言うと、コーバさんは一度こちらを一瞥し、笑みを浮かべて出ていった。



さ、去り際が、

「かっこいい。」

「何だと!?
ミオ、お前アイツに惚れたのか!?」


僕の言葉にヴァルが食いついてきてしまった。


「違うよ、去り際がかっこいいと思っただけ。
ヴァルもカッコいいよ。特に仕事してる姿とか。」

「そ、そうか。」


ヴァルは僕の言葉に再びやる気を出した。それを見てレインさんがぼそっと「ヴァルファリム様の扱いが上手になられましたね。」と耳元で囁いた。
僕はそれに、にこっと笑顔で返した。




 

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あきゅろす。
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