魔王様の腕の中
僕の嫌いなモノ
「っ、っ〜〜〜!
ヴ、ヴァル〜〜〜!!!」
僕は目の前に現れたそれを見て、思わずヴァルを呼んだ。
「どうした、ミオ!」
思いっ切り音をたてて開いたドア。
僕が叫んで僅か三秒でヴァルがやってきた。
「あ、あれ・・・っ。
なんとかしてっ」
僕はヴァルの胸に顔を埋め問題のモノを指差した。
「あれって、ジー虫のことか?」
「名前は知らないけどそう!
あれ、僕の世界にも似たのがいたんだよ。
カサカサ動いて飛ぶし、とにかく見るのも嫌っ。」
そう、黒光りしているゴがつく虫だ。名前を呼ぶのも無理。
しかもこの世界の普通のよりなんかでかいんだけど。
そのわりに動きは俊敏。
「今、消すから待ってろ。
"燃えよ、炎よ"」
すると、ボッと背後で音がして、虫のキーキーと喚く断末魔が聞こえた。
「よし、大丈夫だぞミオ。」
「あ、ありがとヴァル。」
後ろを振りかえってみると、先ほどまでいたモノはいなくなっていた。
「ミオはジー虫が嫌いなんだな。」
「う、大っ嫌い。
なんであんなのがいるわけ。本当に無理。」
「他に嫌いなものはあるのか?
あぁ、立ったままだと疲れるから座ろう。」
ヴァルにそのまま促され、ベッドに座った。
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