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2008お正月/銀八











『もう、お前も高校卒業だなー』

「単位取れたらね…ヤバいかも…」



ここは国語準備室。
あたしがいつも放課後を過ごす場所。



『お前、もう一年高校生活送るつもり!?』

「ワザとじゃないもん!!あたしなりに必死に頑張って、アレだよ!?」

『あー、二学期の通知表な…』

「最高で2なんて…親に見せられなかったよ…」

『言っとくけど、2あげたの俺だけだったからね?こんなチャランポランでも2しかやれなかったんだからね?ぶッちャけ、同情だからね?アレ』

「同情でもなんでもありがたかったよ…オール1はさすがに…」

『つぅか、今までよく進級できたよなー』

「確かに!!一回もダブってないもん!!スゴいよね!!」

『三年間担任してもらった先生に感謝しなさい。…ところで、担任は誰だったっけ?』

「うわっ、なんかめっちゃムカつくんですけど。さも自分のおかげのように!!」

『いや、実際俺のおかげだからね!!』

「ホントー!?でも、こんな頭で社会に出れるのか、本気で不安だよ…こんな先生ですら、大学でて教員免許持ってるのに…」

『…ですら?』

「…空耳じゃない?」

『ま、心配すんな。どっちにしろ、お前、もう進路決まってんじゃん?』

「は?何言ってるの!?
クラスで決まってないのあたしだけだよ!?大学は頭足りないし、不景気で、就職難だし。…特にやりたいこともないし…この時期まで決まってないとか…ヤバいって…」

『やりたい事ならあるだろ?』

「だーかーらッ!!それがあったら、苦労してない!!」










『俺の奥さん』









『なりたくてなりたくて仕方ないんだろ?』

「な…///」

『だから、お前が高校卒業したら、俺が嫁に貰ってやるから』

「先生///」

『あと2ヶ月、待ち遠しくなっちゃったでしょー?』








































「…っていう初夢だったの!!」

『お前さ…わざわざそんな事言うために正月から俺んちまで押しかけて来たわけ!?』

「初夢は叶うんでしょ!?だから、叶うかなー…って思って来てみた!!」

『シツコイねーお前も』

「あのね!!一回振られた人にアピールし続けるのって、かなりキツいんだよ!?あたしの気持ちが先生にわかる!?」




そう、あたしは今年の春、先生に告った。

こっちは真剣なのに、



『生徒と付き合ってるなんて、許されないんだよー?知ってたー?!』



とか言って、馬鹿扱いされて、サラっと流された。










『お前さ…正真正銘のバカ?』

「そんな顔して本当のこと言われたら、サスガに傷つきます!!」

『ハァ…』

「ため息?泣いていい?」

『俺はあの時、“生徒とは付き合わない”って言ったよな?』

「あたしの本気をサラっと流したよねー」

『馬鹿な上にネガティブ!?』

「さっきからヒドい!!」

『(クソッ///)…お前が生徒じゃなかったらねー…』

「ホントだよ!!そしたら相手くらいしてもらえたのにッ!!」

『…』

「アレぇ?何この空気」

『手がつけられない馬鹿だコイツ!!銀さん泣いちゃう!!』

「何事!?」

『マジお前、あり得ねえって…』



その時、先生の顔がふっと近づいてきて、“一回しか言わねぇから”って声が聞こえた。



『こんなバカな子、好きになっちゃったんだよねー。責任、とって貰うから?』









(それって…)

(無事に卒業できたら、もう一回告りにこいよ)






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