始まりなんて
「うー…コタツにずっと入ってたら、喉渇きません?」
『俺も思いまさァ』
「じゃあ、なんか持ってくるよ。近藤さんと土方さん、何がいいですか?」
『俺は…バナナシェイクの気分だな!!』
「気分じゃなくて、生態的に、バナナしか受け付けないんでしょう?」
『俺は、マヨドリだな』
「マヨネーズドリンク略してもカッコよくありません。」
『俺ァ…』
「分かってる♪いつものヤツでしょ?」
『あぁ、頼みまさァ♪』
「ほいほーい」
ガラガラ ピシャン
『なぁ、名前ちゃん、俺らに対してヒドくね?総悟に対してだけ、可愛くね?』
『当たり前でさァ。名前は俺にベタ惚れですからねィ』
『いや、総悟が団子屋から連れてきたときから知ってるけどね?生態的にバナナって…』
『事実だ近藤さん、受け止めてくれ』
『トシまでェェェェ!?』
『そういや、名前は総悟が連れてきた女中だったな。』
『半ばムリヤリ、団子屋辞めさせて、引き抜きやした』
『お前の方がベタ惚れじゃねーか』
『相思相愛だ死ね土方』
『一目惚れなんだろばに引かれて死ね総悟』
『だったらなんでィカメラのどに詰まらせて死ね総悟、あっ間違えた。死ね土方』
『お前ら、お通ちゃん語使うのやめてくんないぃぃぃぃ!?話が理解しづらい!!』
『死ね総悟』
『生きますぜィ?何言ってんですかィ、土方さん』
『うぜェェェェ!!』
『で、結局のところ、名前ちゃんとは、どうやって知り合ったんだ?』
『そうですねィ…確か…』
ちょうど一年前の冬。
『あ〜頼むから死んでくれよ土方』
そんなことをブツブツ言いながら、江戸の町を見回りしていた。
普段ならサボってテキトーな寝てるけど、その日だけは、やる気がでて。
そしたら、いきなりチャイナと出くわして。
『…最悪でィ』
『こっちの台詞ネ』
『どけィ。仕事の邪魔でさァ』
『何言ってるアルか、銀ちゃん言ってたネ。“アイツ等はただのぜいきんどろぼうだ”って!!どく必要ないネ!!』
『ぜいきんどろぼうって、平仮名で発音してるヤツに、あれコレ言われる筋合いはねーや』
道の真ん中で会ったもんだから、お互いに譲れなかった。
『早くどくアル!!ここは歌舞伎町の女王、神楽のための道ヨ』
『何言ってるんでさァ、この道は、真選組が見廻りの時に使う、整備された道路だぜィ』
『聞いたことないネ、そんな話!所詮、真選組なんて、男だらけのムサ苦しい集団じゃねーか!!』
『はい公務執行妨害で逮捕ーおまわりさんの悪口言ったー』
『仕方ない、銀ちゃん言ってたネ、“真選組の奴らにセクハラ的発言されたときは、取りあえず力ずくで勝て”ってな!!』
『セクハラ的発言なんてしてねーけど、喧嘩は好きでさァ』
そう言って、お互いに構えた。
時。
『うぇーん!!』
ソバにいたガキが、ビビって泣き出しやがった。
『…』
『…』
『えーっと…死にたくないなら、泣き止むアル!!』
『…うわーん!!』
『脅してどうするんでさァ、馬鹿がかオメー、馬鹿だろ〜』
『…ちっ』
『ガキはな、こうやってあやすんでィ』
『うわーん!!』
『よしよし、もっと泣けよー、少しでも辛いことがあったら、泣いちまえよー。泣き顔もっと見せてく…』
『子供にS発言してどうするネ!!オメーも馬鹿じゃねーか!!』
『ちっ…』
『うわーん!!』
と、俺たちが言い合いをしているときに、
名前に出会った。
「健太!!」
『名前ねーちゃん…』
「アレ?泣いてるの?」
『なっ、泣いてないもん!!』
「うそ―?目からなんか涙的なモノが…」
『えーっと…さっき飲んだ水が目から出てきた!!』
「その理由、三回目だよ?」
『泣いてない!!』
「ん。男だから泣かないもんねー」
『俺、男!!』
「よし!!じゃ、後でお菓子あげるね!!」
その時、俺は、母親のように優しく微笑む名前に、不覚にも、俺は一目惚れしちまったんだ。
ガキはすっかり泣き止んで、笑ってどこかへ行った。
「…えーっと…真選組の…沖田さん…ですよね?」
『なんでィ、アンタ、俺のファンですかィ?』
「違います!!どんだけポジティブゥゥゥ!?」
初めて、名前が俺の目を見て、放った言葉は、“違います”。
今思えば、なんて悲しいんでィ。
『すいやせんね、泣かしちまって。アンタの知り合いですかィ?』
「はい、近所の子です。」
『ネーチャン、ごっそ可愛いネ!!名前、なんて言うアルか?』
「名前っていうの。アナタは?」
『神楽ヨ!!よろしくネ!!』
「神楽ちゃん可愛いー♪」
その時、さっきとは違って“女の子”の笑顔で笑った名前を見て、俺は顔が真っ赤になった。
『私、“万事屋銀ちゃん”て所で働いてるネ!!暇なときに遊びに来てヨ!!』
「うん☆」
チャイナの野郎はすっかり仲良くなってやがるのに、俺がその日会話したのは、謝った時だけ。
しばらく後、見廻りの時、サボって入った団子屋に名前を見つけた時に、
俺はなんのためらいもなく、告白した。
『…って感じですかねィ?』
『え?そんな一言二言話しただけで告って、OKだったのか!?』
『いえす、フォーリンラブ』
『時事ネタは使うな!!後から絶対“何コレ”ってなるからァァァァ!!』
『じゃあ、なんで俺は…お妙さんとは、会話なんて、数え切れないほどしてるのに…』
『近藤さん、それは、会話してるんじゃなくて…』
『言い寄って、罵声を浴びてるだけでさァ…』
『え?』
「持ってきましたよー」
『お、名前サンキュ』
「うん☆はい、いつもの!」
『…俺のマヨドリは?』
「詳細がよく分からなかったけど、とりあえずマヨネーズを飲むんだろうって思って、マヨネーズをコップに注いできました。」
『上出来だ』
みんなで、くつろぎはじめた。
『そーいや、お前は総悟のどこに惚れたんだ?』
『ドMだから、性格に惚れたんでさァ、なぁ、名前』
「あたし?」
そう聞き返すと、名前は、楽しそうに笑った。
「顔♪」
(…マジでか)
(モロ好みだったの♪)
(…)
『総悟と同じで、笑顔に惚れたのか?S笑いに?』
「土方さん、性格はいいけど顔はブスな女と、顔はいいけど性格悪い女、ぱっと見、どっちに行きますか?」
『ぱっと見でか?…そりゃあ…』
「そう!!いくら綺麗事並べても、所詮、顔なんですよ、顔!!」
『まぁ、一理はあるが…』
「いや、所詮、人生顔が全てですって!!ね?近藤さん」
『…なんで俺?』
「なはは」
『まぁ、考えてみれば、“笑顔”も顔だよな』
「よーするに、お互いに一目惚れってことは、お互いに顔に惚れてたんですよ!!」
『「ナハハハハ」』
土方さんと名前の会話を聞きながら、顔に惚れて、何が悪いんだコノヤローと思いました。
…アレ?作文?
Dear 未来様
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