ギャグマンガ日和に転生しますた
冥界で死闘
目を覚ますと、青い空が目に入った。
あれ? 死んだんじゃなかったっけ、と思いながら、起き上がる。体に痛みは無かった。どろっとしたあの血も、無くなっていた。
夢だったのか……いや、でも痛かったし、あれ。というか、これも夢なんじゃないのか?
首を傾げて、ただただ空を見上げる。……あれ、なんかあの雲、アニメっぽいな。影とかもはっきりしてるし……あれ、なんであんなにはっきり影が?
思わず何度も目をこする。それでも、雲はアニメっぽいままだ。
変だな……と立ち上がった瞬間、ばさっという音と共に目の前が全て網目状になった。
なっ、なんだなんだ!?
「ふぅー、やっと捕まえた〜。手こずらせやがってこのやろー。炙ってやろうか!」
うへええええ、なんか変な人に捕まったっぽいぞ! つーか炙るって何、怖っ。
恐る恐る振り返ってみれば、「大王」と書かれた帽子をかぶった、アニメキャラクターのような体の人がいた。しかも、どっかで見たことがある絵柄。
絶対見たことあるこの絵柄!
「あ、あのう」
「ずんどこ言わずに大人しく捕まれ! 蝶のくせに生意気だこのやろー!」
「ず、ずんどこ? てゆーか俺、蝶じゃないんですけど」
「嘘つくの下手だな〜。さっきからふらふらふらと……蝶以外そんな動きしないんだよ! 分かったか!」
「分かりません! つーか蛾とかもふらふらするし! いや、その前にどう見ても俺人間でしょ!?」
叫んだところで、じっと全身を観察される。しばらく真剣な顔で見ていたその人は、急に「ふっ」と笑って決め顔で言った。
「私には、百歩譲っても毛の生えていないゴリラにしか見えないぜ……。ていうか、あれ? ゴリラって喋ったっけ?」
「俺はゴリラじゃなくて人間です! それにゴリラは喋んないです!」
失礼なことを言ったそいつに、即座に突っ込む。そいつは「やっぱそうだよねー」とか頷きながら網を上げ、しばらく経って我に返ったように俺の顔を凝視し、青ざめた。
「えっ、じゃあなんで君喋ってるの? 君もしかして……」
「……もしかして?」
もしかして、なんだ。
「もしかして…………新種のゴリラ!?」
ぱあっと明るくなったそいつの表情。そして、いかにも捕まえてやろうという感じにスタンバらせているタモ。こいつ……捕まえる気か!?
ぎらりと光った死んだ魚のような目に、少し恐怖を感じた。それにそいつは反応する。
「やっぱり新種のゴリラなんだなぁ! くらえ! ハイパータモスナイピング! エイヤッ」
「ノォアッ!?」
人に向かってタモ振り回すなよ! つーかあのタモにある……開きそうな小さい扉とボタン!
やっぱりこの人、ギャグマンガ日和の閻魔大王じゃねーか!
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