ギャグマンガ日和に転生しますた
*
『〜♪』
周りの音が聞こえる程度に音量を調節した、ギャグマンガ日和(アニメ)のBGMが耳元で流れる。
こうやって歩けば、風景は違うものの、自分がギャグマンガ日和の世界に入り込んだように感じることができるんだ。
(ちなみにこれは昔妹がやっていたものだ)
すこし目を瞑ってじっくり音楽を聴いていると、足がぬるっと滑った。
「うっ!」
慌てて目を開いた時には、もう青い空が見えていた。
強い衝撃が頭にきて、その部分が一瞬かっと熱くなる。次に、痛みがじんじんと伝わってきた。
反射的に丸くなって、頭を押さえる。手が当たったところは、やけに濡れていた。
不審に思って片方の手を見ると、赤黒いどろりとした鉄臭いもので染まっていた。
「うそ……だ」
目の奥がくるくると回りはじめて、頭がだんだんぼうっとしてくる。
視界が完全に黒になって、とうとう意識が飛んで行きそうになった最後。
遠くの方で、誰かの悲鳴が聞こえた。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!