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Destiny Chronicle 天空の書
Destiny Chronicle 天空の書 第3話
Destiny Chronicle
天空の書
第3話 迷いの森 リーヴァ



俺達はこの町に1日だけ宿泊をした。あの時に町を出ても中途半端だからだ。だ
ったらゆっくり休んで次の町に向かったほうがいいと考えたからだ。そして翌日
に宿屋で朝食をとったあとこの町を出発した。平原にでるといつものように魔物
姿は見える。そして今日は快晴の空だから辺り一帯を見渡せる。そんななかあの
組織のことを考えていた。あいつらはあの結界のコアを盗んで何をしようとして
いるのか。レイナをさらったのはいったい何故なのか。レイナでないといけない
理由でもあるのかと考えてしまう。そして俺の体をすばやくきりつけたあの男は
何だったのか。あの時あいつからはすごい殺気と強さを感じた。ずっと歩いてい
るとクリルが俺の顔をじっと見つめている。
ソーマ「何でこっちじろじろ見てんだ?」
クリル「いや、ソーマがそんな風に考え込んだ姿なんか見たことなかったから。

ソーマ「俺が考え事をするのが不自然か? 人なんだから考えるのは普通だろ?そ
れとも俺のことをずっと見続けていたいのか!?」クリル「ばっ、馬鹿言わない
でよ!! 私がそんなことを思うわけないでしょ!!」
こいつはいつものように俺に台詞をふっかけた。こういうことをいうたびにこい
つの顔は赤くなる。ったく照れてるんだか怒ってんだかわからないぜ。もうちょ
っとだけからかってみることにする。
ソーマ「じゃあ、何でそんなに顔が赤くなってんだよ?」
クリル「なっ、赤くなりたいから赤くなってんのよ!悪い!!?」
ソーマ「・・・・あっ、そう。」
こいつの言ってることはすごい無茶苦茶だ。赤くなりたいから赤くなるってどう
いう理屈だよ。とにかくからかってやるといつもこうなる。
歩いてからおよそ20分くらいにたくさん木がある場所の目の前にさしかかる。
これはどうみても森だ。端から隅までずっと木がある。俺はクリルにマップでこ
の場所を確認してもらう。マップをみたあいつの表情が嫌な顔に変化した。
ソーマ「どうした? そんな変な顔をして。」
クリル「ここってリーヴァの森じゃない・・・。」
ソーマ「それがどうしたんだよ?」
クリル「ソーマは知らないの? ここは迷いの森って言われてる場所なの。悪い時
には一度入ると出られなくなっちゃうのよ。」
ソーマ「そうなのか? だったらあの結界都市とこを運ぶときはどうやってるんだ
?」
クリル「本来、森の反対側に行くときは、船に乗って行くの。それはあっちにあ
るわ。」
そういうと、東側の方向に指をさした。確かにあそこには船の乗れるような場所
が設けられている。でもクリルは話しを続ける。
クリル「でも、あの船に乗れるのは業者の関係の人だけらしいの。こっちがわの
人間はあっち側に行くことはあまりないみたいよ。」ソーマ「なるほどな・・・
・。でも他に行く道がないんならここを通るしかないだろ。」
クリル「えーーー。もし迷って出てこれなくなったらどうするのよ!?」
ソーマ「そんときはそんときだ。どうせなんとかなるだろう。」
他に道がないのならここを通って行くしかない。迷いの森と言われているがその
ことをあまり信じなかった。地図に記されているとはいえその情報は間違えとい
うことも有り得るのだ。だから、何のためらいもなく森のなかへと入って行く。
クリル「え、ちょっと待ちなさいよ〜!!!」
クリルは慌てて森の中へと入って行く。中へ入ってみると昼間だというのにすご
い薄暗く、あたりめとても嫌な感じがする。俺はあまり気にしてはいないがクリ
ルは相当びびっているように見えた。たくさん樹木があるため太陽を遮っている
。歩くにつれてだんだん木々が深くなり不気味なオーラを徐々にかもしだしてい
く。
クリル「ああ〜。もうこんな奥の方に来ちゃったわ・・・・・・。これじゃあも
う戻れないかも。」
ソーマ「お前にしてはずいぶん落ち込んでいるんだな。たかが森に迷ったくらい
で落ち込むなって。たぶんなんとかなるだろう。」
クリル「ソーマは何もわかってない!! いい。耳の穴をかっぽじってよーく聞き
なさいよ・・・・。」
クリルは怖い表情をしながら何やら語りだした。
クリル「この森はね、死人がいっぱいでるって評判が多いの。それらの魂がこの
森をさ迷っている話なの。その影響でこの森から出てこれないって人が後をたた
ないの。」
ソーマ「何を言うかと思ったらそんなつまらないことか。そんなの迷信に決まっ
てるだろ。この森から抜け出せないのは磁場の影響が強いからだろ。それとこの
森は広いから迷ってもおかしくない。だから、出られなくなるのは仕方がないん
だよ。」
クリル「そんな根拠で片付けないで! その磁場の影響が強いのはその死人たちの
霊がさ迷ってるからなのよ。この話は世界中に広まってるのよ。それでこの森は
この世界の七不思議のひとつとされてるのよ。」
ソーマ「そんなの誰かの作り話だよ。そう思ってるから怖くなるんだ。こんなと
ころでじっとせずに先に行くぞ。」
クリル「あ、ちょっと待ちなさいよ〜!!」
俺はクリルの言うことを無視して先に進んで行く。俺が行くのを焦ったのかあい
つも後をついてきた。

歩いてからもう1時間以上が経つが、今だに森を抜けられない。方角もわからな
くなってしまった。これは完全に迷ったといったところだ。森で動くとろくなこ
とがないので今夜は確実に野宿になりそうだ。当然ながらクリルは許可しようと
はしなかった。こんな怖い森で寝たくないと言う。
クリル「もう、なんてこと言い出すのよ! こんな薄気味悪いところで寝なきゃな
らないなんて!」
ソーマ「しょうがねえだろ。こんなに暗くなってから動き出せば余計に迷うし、
お前とはぐれたらどうすんだよ。」
クリル「はあ〜。仕方ないわね。じゃあ夜営の準備をしましょうか・・・・・。

空を見渡してみると赤く、太陽は沈みかけている。かろうじて太陽がでて明るく
なっていたのに日が沈んだらどれだけこの森は暗くなるだろうか。俺とクリルは
はぐれない程度に薪を探しはじめる。あまり人がこないため、たくさん落ちてい
た。集めてきた薪に火を起こしてつけると、木はすこしずつではあるが徐々に燃
えはじめ天高くへとのぼっていく。これで火の元ができたうえに、離れていても
これで場所も確認できるようになった。食料は持ってきたものを適当に焼いて食
べようと考えた。そんなときだ。
「うわあああああーーーー!!!」
クリル「ななな、何今の叫び声!!! まさか幽霊!?」
ソーマ「今のはなんだ? これはなんだか嫌な予感がする。行くぞ!」
クリル「ちょっと、本気でいくつもり!?」
ソーマ「二人でいけばなんとかなるだろ?」
俺はその叫び声のした方向へと向かった。俺達が夜営をした距離からは遠くなく
走って1分くらいのところに叫び声をあげたやつがいた。年は12歳ぐらいの男
の子で、軽い服装をしている。その容姿と裏腹に自分より大きいハンマーがよこ
にある。そしてそいつの視線の先にはすこし大きい豹のような魔物がいた。
クリル「あ、子供が魔物に襲われているわ! 助けないと。」
ソーマ「っていってもあいつ戦うつもりだぜ。」
少年は落ちていたハンマーを拾って、勇敢にも立ち向かおうとしていた。小さい
容姿でなんであんな武器を使うのか俺には理解が出来ない。豹の魔物は勢いよく
あの子供のもとにとんでいく。それに対抗しようと自分のハンマーを魔物に向か
って振ろうとしたが、足を滑らせて体勢を崩してしまった。それをみかねた俺は
すかさず鞘から剣を抜き、空破刃を放った。魔物に攻撃が当たったことを確認し
て、草の影から姿をだす。クリルは体勢を崩した子供のところに駆け寄って、俺
はすぐ魔物と戦闘を開始する。するどい牙を使って俺の腕を噛み付こうとする豹
をかわして、拳を使った技を使って顎の部分にアッパーをした。
ソーマ「龍牙掌!!」
その攻撃で敵を動けなくして、剣で大きく切り裂いた。悲鳴をあげながらその魔
物は意識を断った。子供を助けただけでなく、今夜の飯も確保できて一石二鳥の
気分になった。そして振り返ってクリルの元へ行く。クリルは襲われていた子供
に話をしていた。
クリル「君はこんなところで何をしていたの?」
「森を歩いていたら、急にあの魔物に襲われたんだ。」
ソーマ「その前になんでこの森にいるんだ?ここがどういう所かわかってるはず
だろ。」
「え? ここって何かあるんですか?」
クリル「はぁ〜。レベルがソーマと一緒・・・・。」呆れた顔をしながらクリル
は言う。とりあえず事情は後に聞くことにした。クリルが話している間、俺はさ
っき倒した魔物を持ち帰る準備をしていた。食べやすい大きさに捌いてから、そ
れを専用の袋にいれる。
この一件が終わり、火を焚いているところに戻ってきた。そこでさっき捌いた肉
を火で焼く。それと同時に鞄から携帯食料もとりだした。状況が一段落したとこ
ろで、その子供に事情を聞くことにする。
ソーマ「まず、お前はなんて名前なんだ?」
「おいらはケイト。ケイト・サバイだよ。」
クリル「ケイト君ね。わかったわ。あそこで何をしたか教えてくれる?」
ケイト「おいらはこの大陸をぶらり旅をしているんだ。北から歩いてきたらこの
もりにたどり着いたんだ。」
ソーマ「その歳で旅だって? なにか事情がありそうだな。お前はレグナと魔力契
約はしているのか?」
ケイト「うん。丁度一年前にね。僕が住んでいる故郷は12歳になったら魔力契
約することになってるんだ。」
クリル「その歳で? 偉いわね〜。私たちですら契約したのは15歳だったのに。

ソーマ「ぶらり旅? 両親はどうしたんだ?」
ケイト「いるよ。おいらの父さんが旅にでろってことで旅をしているんだ。まだ
そんなに強くないのに旅にでるから困ってるよ。魔物と戦闘は極力避けてるんだ
。」
ソーマ「それじゃあハンターとしての腕前は上がらないだろ。弱い魔物だって自
分から戦いを挑まなきゃ、強くはなれねえぞ。」
ケイト「だから、みなさんに会ってよかったです。よかったらおいらも旅に同行
させてもらえませんか?」俺は素直にいいと言い難かった。ある意味俺達は厄介
事に関わっている。この関係ない子供を巻き込むのにはすこし抵抗があった。俺
の意見聞かずにクリルは返答した。
クリル「もちろん。人数は多い方が楽しいもの。私はクリル・アージェントよ。
呼ぶ時はクリルでいいわ。そっちの剣士はソーマよ。あっちも呼ぶときはソーマ
でいいわ。」
ケイト「はい! 役立つかどうかはわかりませんが、よろしくお願いします。」ソ
ーマ「ああ、よろしく・・・・・。(ったくクリルの奴は何考えてんだか。)」
クリル「それから敬語は使わなくていいわよ。これから旅をする仲間だからね。

ケイト「はい。じゃあお言葉に甘えて・・・・。」
なんだか成り行きでこんなことになってしまったがしょうがないだろう。まあ人
数が増えればそれだけ戦闘にも役立つし、色々やってもらえそうで助かるこの先
のことは一体どうなるだろうか。レイナの手掛かりをなんとしても手に入れ・・
・・・ってその前にこの森を抜け出すのが先だ。。後のことはそれから考えよう




次回へ続く



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