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学生時代
風薫るV

「今のは」
「ああ、新堂君だよ」「今時坊主頭って」
「野球部だからだよ」
「彼、あなたのこと」
梨華はぐっと言葉につまった。
「……気づいてるよ、だって毎日私に話しかけてくるんだもん」
「梨華もそういうのは解るんだ」
「何よう、バカにしないで」
「そこの計算、間違えてるわよ」
梨華が手元をみると簡単な足し算をとちっていた。
「本当だ」
2人は少し笑い合った。ふと窓を見ると、夕焼けで空が赤らんでいた。もうすぐ夏だなと唐突に感じた。
今着ている夏服が急に頼りなく感じる。軽すぎるからだと思う。
遠くから野球部の1、2という掛け声が聞こえる。ランニングか何かだろうか。
「このまま時間が止まれば良いのに」
梨華は美咲に聞こえない声で言った。

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あきゅろす。
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