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戦いの記憶 2
「とりあえずさ、アイツら何者なんだ…?」

皆がその場で起こった事に呆然としていた。
しばらくしてやっと、スナフがその静寂を破った。

「どうやら私の知り合いみたいですねぇ…」

「軽いな!…ってマジか!?」

旅に出てこんなにすぐに手掛かりが見つかったのと、その手掛かりがあまりに普通ではなかった事にスナフはたじろいだ。

「しかも、相当嫌われてましたねぇ…」

「んー…確かに、尋常じゃない殺気だったしな…。お前、何かとんでもねー事したんじないのか?」

「全く記憶にないんですけどねぇ…ま、そんな大した事ではないでしょう」

「…そうか?」

そんなやり取りをしながら、スナフは何となくあの男がライルを嫌いな理由が分かった気がした。

「これはあくまで予想なんですが…」

不意にライルが驚くべき言葉を放った。

「魔物の群に襲われたのも、宿が燃えたのも、橋が崩れたのも…全部彼らの仕業だと思います」

「確証は…?」

あまりに唐突な推理に、スナフは平静を装い尋ねた。

「さっきの女性が去り際に言った言葉…それでピンときましたねぇ」

「大変なのはこれから、か…」

確かに、ライルの推理が本当だとすると流れ的にはおかしくない言葉だ。

そしてそれは…

「って…またこれからも何かしてくるって事じゃねーか!しかも今までのは遊びだ!みたいな口振りじゃねーか…無理だって…マジで無理!俺もう帰る!」

頭を抱えて叫ぶスナフを毛ほども気にせずに、ライルは口を開いた。

「それは君の自由ですが…ここから一人で帰れますか?」
「うるせー!」


「オイ、ちょっと良いか?」

突然、背後からジャックの声。
完全に置いてけぼりを食らっていたが、ようやく動き出したようだ。

「怪我してんのに悪いが…わしらの畑、どうしてくれるんだ?」

その言葉に畑の方を見ると、ライル達が争った後には苗がグチャグチャになっていた。
その有様を見て、返す言葉が見つからなかった。

「…スナフ、アンジュは?」

「…熱があるから、今このジャックさんの家で休ませてもらってる」

「…そうですか」

一瞬考え込んで、ライルは再び口を開いた。

「ジャックさん、でしたね?無理を承知でお願いしたいのですが…」

「分かっとる。あの娘が良くなるまではちゃんと診てやる」

そう吐き捨てるとすぐに、ジャックは背を向けて歩き出した。
直後、スナフは安心したように溜め息をついた。

「…で、俺たちはどうする?街の宿にでも行くか?」

「スナフってやっぱりバカですか?さっきの彼らがまた襲ってくるかもしれないのに、オチオチと街中で眠るつもりだなんて…」

「バカは余計だ!」

反論しつつもその言葉が意味する所を察し、スナフは盛大に溜め息をついた。

「野宿、か…」

ただでさえ避けたい行為を、こんな暗い気持ちで行うのはどうにも気が進まない。

「さぁ、行きますよ!あの丘なんて見晴らしがよさそうですね!」

ぐったりとうなだれるスナフを引きずり、ライルは意気揚々と歩き出した。

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あきゅろす。
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