SHUFFLE!-Only good days-
変態男、緑葉樹
とりあえず教室の前にたどり着いた俺と楓だが、楓が扉を開けようとするのを止めさせる。
その理由はおそらくすぐに分かるだろう。一呼吸おき、ゆっくりと取っ手に手をかける。そして一気に右へと開いた。
「楓ちゃん、俺様の胸の中にようこそ!!」
扉を開けた瞬間、一人の男子が楓の代わりに扉を開けた俺の胸の中へと飛び込んでくる。
もちろん俺は間髪入れずに相手のみぞおちに正拳突きを叩き込む。見事に相手のみぞおちをピンポイントで捉えた。相手も顔を青ざめる。
「俺の胸の中にようこそ、緑葉樹君……」
「稟、俺様の無念の中にようこそ」
楓……いや、胸のある可愛い女の子はみんな好きな変態男、緑葉樹。毎朝と言うわけでは無いのだが、時々このように楓の胸に飛び込もうとするため、朝は必ず俺が先に教室に入るのだ。
とはいえいい加減懲りそうな物なのだがいつまでたっても同じやり方でやってくるため、対処はしやすい。
ちなみに樹は頭脳明晰、顔も良いために初対面の女子からの印象はかなり良いのだが、樹を知る女子は普通にスルーをしている。ちなみに趣味はナンパという無類の女好き、直せるものならこいつの煩悩を破壊してやりたい。
楓に抱きつこうとする樹の陰謀から楓を守った俺は、窓際にある自分の席についた。
「よーし、席に着けー! ホームルーム始めるぞ」
俺のクラス担任、紅薔薇撫子が入ってきた。俺は紅女史と呼んでいる。というよりクラスの大半の男子が、そう呼んでいる。
ちなみに完璧なまでのスタイルの良さ、美しい顔立ちからナンパ、告白する男は何人もいるんだがすべて玉砕している。 紅女史曰わく、自分のタイプではないらしいが、彼女のタイプとはどんなものなのか想像がまるでつかない。
――…
ホームルームが終わり、俺は一時間目の授業の用意を始める。一時間目は世界史、紅女史の担当科目のため、ダラダラやっていると罰を受ける羽目になるほど厳しいものがある。
「稟、君のせいで僕は朝から気分は最悪だよ……」
「そのセリフ、そっくりそのまま返すぜ樹」
全くそれはこっちの話だっての。朝っぱらから樹に抱きつかれたことで上の学園には変な噂が流れているし……。出来るなら時間を戻したいぐらいだよ。
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