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SHUFFLE!-Only good days-
好きな人



「え……っと、桜の家はどこだったかな?」


 久しぶりに光陽町に帰ってきた俺は、自称片思いの桜の家を探してとある町に来ているのだが、ものの見事に迷ってしまい途方に暮れているところだ。

 十年もいなくなってりゃ町並みもかなり変わる……わけではないが、完全に地形を忘れてしまっている。俺も好きで忘れた訳じゃないんだが、最近年をとって物忘れが激しくて。

 まぁその辺りは軽くスルーしてくれて結構だが、このままだったら日が暮れちまう。


「あ〜もう!! どこなんだよ〜」


――…


 それから数十分後、散々走り回った結果何とか家を見つけることに成功した。ある意味桜の家を見つけれたのは奇跡に近いが、運も実力のうちだ。誰が否定しようが、立派な実力だから口出しする権利なんかない。

 さて、来たは良いけどこの後どうしようか。案外会ってもどなたですか? って言われたらへこむしな。ここは待っているべきか、それとも思い切ってチャイムを押すべきか二つに一つ。すぐにでも会いたいのなら俺に選択肢はない。


「ハァ、俺ってだめだな……」


 手を壁に押しつけ、ぞくに言う反省のポーズをとってしまう。しかし俺が手を押しつけたのはちょうどチャイムのボタンの上だった。当然家の中にチャイムの音は筒抜け、インターホンから一人の声が聞こえてきた。


「はい、どなたですか?」


「あの……鵜飼という者ですけど桜さんは」


「……俊樹くん!? ちょ、ちょっと待ってて……キャァ!?」


 インターホンからは何とも痛そうなこける音が聞こえる。どうやら俺のことを覚えていたくれたようだ。というより俺のことを覚えていなかったのは龍だけだ、ある意味虚しい。アイツさえ覚えていたらパーフェクトだったのに……


「あ……久しぶり」


「ど、どうぞ。上がってください」


 出てきた桜に家に入れてもらった俺、十年越しの再会で運命の歯車が回り始めたようなそんな気がした。


――その後、俺は桜の家に小一時間ほど居座った後、二人で町に出かけることに。二人で町を回るのは初めて、当然と言えば当然なんだがそれでも一緒に歩くだけで気持ちが落ち着くのはやはり好きだからなのだろうか。

 それにしても桜もかなり成長したよな、十年もたてば成長するのだが何というか身長だけじゃなくてその顔立ちや、スタイルも大きく成長している。スタイルはだいたい楓と同じぐらいか、顔立ちも男子が見たら惚れ込みそうだし。


「俊樹くん成長したよね、前は私の方が大きかったのにさ」


「成長期だからな、それを言ったら桜だってずっと女の子っぽくなったし。俺は好きだな今の桜」


「そんな顔で言われたら否定できないよ〜」


 頬を膨らませて顔を赤らめる桜も可愛い。こういう性格はやっぱり変わっていない、変わってもらっては困る。

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