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SHUFFLE!-Only good days-
誰?



「楓、ちょっと出かけてくる。昼には帰ってくるから」


「はい、気をつけてくださいね」


 夏休みも一週間が過ぎ、暑さはなおも厳しさを増す今日この頃。かく言う俺はシアに呼び出されて公園へと向かうところだ。それにどうやら呼んだのは何か話があるからだそうなのだが、実際のところ詳しい内容を聞かされていない。

 出来れば家の中で話を聞きたかったのだが神王の娘のシアの頼みだ、聞かないわけには行かない。それにバックレたら神王のおじさんに殺されそうなそんな気がした。

 今日は俊樹の奴も桜に会いに行くってことだったし、特に用事も出来なかったからありがたいと言えばありがたいのかな。


「にしても、相変わらず暑いよなぁ」


 天気予報では涼しくなると言ってはいたけど、実際その逆の地獄のような日差しが体中に照りつける。最近は排気ガスによる地球温暖化が進んで夏の平均気温が上がってきている。冬の気温が上がってくれるなら特に何とも思わないけど、夏場は本当に勘弁してほしい。


「お〜い、稟!」


「うん?」


 変だな、今声がしたと思ったんだけど周りには誰もいない。しかしやっぱり俺を呼ぶ声が聞こえる。周りを見ても姿を確認することは出来ない。ということは残る選択肢は上だけだ。


「気がつくのが遅い!」


「……シア?」


 何か違和感がある。目の前にいる彼女はシアであるのにシアじゃないような気がする。普段のシアだったら俺のことを呼び捨てにすることなんか無いし、いつもよりも語源が荒いし……。

 でも目の色だって髪の毛だってシアそのものであるのは間違いないはずなのだが。それとも俺がただ単に勘違いしているのか。


「どうかしたの?」


「おまえ本当にシアか? 俺には別人にしか見えないんだがな」


「えへへ〜♪ ばれた?」


「まぁ何となくはな、それでお前は誰なんだ?」


 シアに似た少女はなーんだと思いながら顔をふくらめる。ここでようやく目の前にいる少女がシアではないということが分かった。それは彼女が笑ったときに見せるはずの人懐っこい笑顔、しかし今の彼女は笑ってはいるもののそれが見られない。つまりは外見こそはそっくりだが内面はまるで違う人物なのだろう。

 何かシアと関係が深そうなのだが、一体どういった関係なのか。

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