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SHUFFLE!-Only good days-
前途多難……



 俺の発言に神王と魔王のおじさんを除いた周りの奴らは石のように固まっていた。まぁ当然か、研究所で働いていた親の息子となれば仕方がないだろうな。

 ちなみに俺がここに来た理由を一つ挙げるとすればある人を助けるためだ。その人はこの世にはいない、でも生きてはいる。とある体の中で、二人で一人として今もなお生きている。

 そしてもう一つ、十年前に同じ小学校に通っていた片思いの幼なじみに会いに来た。


「稟、お前ってどこに通っているんだ?」


「俺はバーベナ学園だよ。ちなみにここにいる全員バーベナ学園に通っている」


「そうか、そういえば桜はどうしている? 確かストレリチア女学院に通っているって聞いたけど」


 俺が言う桜というのは八重桜(やえさくら)のこと。俺、稟と楓とは小さい頃の幼なじみで、俺が転校した後は二人と同じ中学を卒業後、自分の夢を叶えるためにストレリチア女学院への進学を決めたということだった。

 なぜか分からないがそんな桜に俺は惹かれてしまい、いつの間にかそれが恋というものに発展。


「ああ……ほとんど連絡が無いんだよな。年賀状は来るんだけど」


「ふーん、まぁいいや今度顔出してみるか」


 連絡はほとんど無いか、まぁ桜の奴も自分のことで手一杯なんだろうな。さて、問題はすむ場所か……あのバカ親父、どこか自分で家を見つけろなんて言いやがって。荷物はまとめて送ってくれるらしいが納得がいかない。


「おめぇさん確か住むところ決まってないっつったよな? だったらウチなんてどうでぃ!? 大歓迎だぜ?」


「おっとズルいじゃないか神ちゃん、だったら私の家だって」


 え〜っと突如俺の目の前ですむ場所をめぐった言い合いが始まった。とりあえず住む場所があれば大丈夫だが、神界魔界のトップである人物の家へ泊まるわけには……とはいっても今の二人からは王という感じはまるっきりゼロ。神王のおじさんに限っては神界に居たときの威厳は全く感じられない。

 それに俺の意見はお構いなしに勝手に話を進められている。お構いなしというより俺が割り込む隙を与えてないようにも見えるが、まぁそれに関してはただの偶然であることを祈る。


「私は別に構わないんだけど……」


「私もです……」


 いやいやちょっと待て!? そんなこと言われたら親父になに言われるか分からないし、それに女の子の家に居候して生活をするだなんて。神界は一夫多妻制だから神王のおじさんの妻は三人いるらしいし、魔王のおじさんの家もたいして変わらないだろう。


「ち、ちょっと待ってください! 話がなんだかよく分からないんですが……」


「まぁ気にするなよ俊樹殿! 俺たちが何とかしてやるから」


 結局は俺に拒否権は無く、勝手に決められるのか。まぁ分かっていたことなんだがな、この二人がいる時点で俺はどうしようもないって。


――前途多難、ああ……なんて良い響きの言葉なんだろう。

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あきゅろす。
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