SHUFFLE!-Only good days-
復讐
それからというもの、楓は俺への復讐を生き甲斐とするようになった。とある時は階段から突き落とされ、はたまたカッターを投げつけられるわ日に日に復讐はエスカレートしていく。
今までは何とも言わなかった男友達や担任もさすがに心配するようになってきた。ただし楓のまわりにいる女子からは毎日のようにいじめらる。
俺はこれで良かった、楓が生きていてくれるならこの身が滅びようとも……。
「でも残念だ、楓の笑顔が見られないのは」
俺が唯一見たかったもの、それは楓の笑顔だ。もちろん俺を恨んでいる楓が笑顔を見せてくれるはずがない。それが俺にとって唯一の後悔だった。
しかし俺の嘘にも限度というものがあった。中学に入学したばかりの休日、俺は楓のおじさんに芙蓉邸に来るように言われた。
だいたいの予想はついていた、俺の右目につけられたカッターの傷。おそらくおじさんは楓に本当のことを話すつもりなのだろう。
「稟くんもここに座りなさい……話がある」
おじさんの表情はいつもの楽観的な表情ではなく、厳しい表情に変わっていた。楓の殺意にわいた目が、俺の方へと向く。
出来れば話してほしくない、楓が再び心を閉ざすのは見たくないからだ。
「楓、落ち着いて聞きなさい。四年前に起こった事故、あれは決して稟くんのせいじゃない。楓の熱を心配して帰る途中にたまたまトラックが突っ込んで来たんだ……」
「え……」
今まで殺意に満ちていた表情から打って変わって、驚きを全面に出す楓。その顔は徐々に青ざめていき、体全体が得体の知れない恐怖に包まれたようにガタガタと震え出す。
見るに耐えられなくなった俺は、芙蓉邸を飛び出して近くの公園へと逃げ込んだ。
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