SHUFFLE!-Only good days-
二人だけの夏休み初日
期末テストもあっという間に過ぎ、夏休みに入った国立バーベナ学園。当然期末テストがあったということは、追試者も出たということ。
麻弓=タイムもその一人、最後は潔く散っていった。かくいう俺はなんとバーベナの頭脳とまで言われた緑葉樹に英語のテストで勝ったのだ。今まで一度たりとも勝てなかった樹についに勝つことが出来たのだ。
下剋上、盛者必衰の理をあらわすのごとく、緑葉樹という戦国大名が土見稟という農民に負けたということだ。
「ま、勝ったことは良いとしてこの暑さは無いよなぁ……」
夏休みの初日とはいえ、この暑さは体にこたえる。うちわをあおぎながら何とか暑さを凌いでいるわけだが、それでも暑いものは暑い。クーラーなんかをつければ一気に涼しくなるだろうが、クーラーの中にいるとさすがに体に毒になる。
もっとも今は外でプールに入っているのが一番幸せで涼しくなるだろうが、学校のプール開きはもう少し後の話だ。今は市民プールや遊園地プールに行くとか、海に行くだとかするわけだが今のところそんな予定はない。いずれ行くつもりだが少なくとも今日行くつもりはない。
「本当ですよね、夏だからといえば簡単ですけど」
「ああ、それに平和だ……」
「あの……それは……」
妙に歯切れの悪い楓の一言。まぁ無理もない、だって今両隣の神王と魔王のおじさんが公式行事でいないから。もちろんシアとネリネもいない。プリムラも人界の病院でするような定期検診のために、魔界に戻っている。
つまり今の状況は俺と楓、男と女が一つ屋根の下で生活するという日常に戻っている。しかし今までがうるさかっただけに急に静かになると拍子抜けするな……。それだけおじさん二方の存在が大きかったんだろうが。
「稟くん、ちょっと早いですけどお昼にしましょうか」
「夏休みとはいえ、時間が経つのは早いな……」
昼食に出てきたのは冷や麦だった。こんな暑い日にはやっぱり冷たいものが食べたいと思うがまさかここで冷や麦とは嬉しいね。
そんなに食欲がないというわけでは無いが、手軽で喉にスッと通るというのがたまらない。
「……久しぶりだな、二人だけで昼食をとるのは」
外では蝉の鳴く声が聞こえるが、会話は俺と楓の二人だけだ。実際プリムラはあまり話さないから特別変わってないはず。でも最近はドタバタしてたし、皆には悪いけどこれくらい静かなときがたまにはあっても良いよな。
「私もそう思ってました。同居して一ヶ月ちょっとですけど……やっぱりこういうのって良いなって」
「あ、ああ……」
意外な切り返し方に思わず顔の体温があがっていく。だがそれもほんの一瞬だったが、確かに俺の顔は火照りを感じていた。
その火照りを紛らわすように汁につかっている麺をすする俺。
「え……と稟くん、これから予定ありますか?」
「いや、特には」
「ちょっと付き合ってほしいところがあるんです」
「?」
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