SHUFFLE!-Only good days-
プリムラがいない!
シアを家まで送り届けた後、俺はそのままダッシュで家へと戻った。実はシアを送り届けた時、神王のおじさんの変な勘違いにより拘束されそうになったからだ。
まさかシアを家まで送っただけで、婚約を決めただなんて思われちゃたまったもんじゃない。今ごろおじさんは地獄でも見ていることだろう。
「ただいまー」
玄関を開けたのだが、応答がない。普段なら楓辺りが迎えに出てくるはずなのだが、一体どうしたのだろうか。
「楓、プリムラ!!」
ひとまず家の中に入り、楓がいるのかどうか探す。しかし探している最中、もう一つの異変が起きているのに気が付いた。楓だけでなくプリムラの姿まで見当たらないのだ。
プリムラは確かにまだ考え方は幼いが、何も知らずに一人で出かけることはしない。最悪の事態が俺の脳裏を横切る、誘拐されたという場合だ。
再び玄関に戻り、靴を確認する。やはりプリムラの靴がない、そして楓の靴もないのだが、楓の部屋に学校の鞄もなかったし制服も掛けてないなかったため、家には帰ってきてはいないと考えられる。
しかし問題はプリムラだ。何の前触れもなく姿が見えないなんて絶対におかしい。
「くそっ!! 俺の勘違いであってくれ!!」
最高最強の魔力を持った人工生命体を手に入れたいと思う奴らがいたとしてもおかしくない。
「プリムラー、プリムラ!!」
ひとまず片っ端から近所の詮索にあたる俺、恐らくそんなに遠くには行っていないはずだ。そうであることを祈る。
「返事をしてくれ! プリム――」
「稟……?」
聞き覚えのある静かな声が後方から聞こえる。俺は声の方に振り向くとそこには見覚えのある少女がびしょ濡れになって立っていた。間違いない俺の目の前に立っている少女はプリムラ本人だ。
俺は高まった気持ちを抑えきれず、プリムラを自分の胸元に抱き寄せる。キョトンとした表情のプリムラだが、どうして外に出ていたのだろうか。
「どこに行ってたんだよプリムラ!! 勝手にいなくなったら俺も楓も心配するだろ!? ……でも見つかって良かった」
「ごめん……なさい」
無表情ながらも伝わってくるプリムラの思い。しかし、何故プリムラは外に出ていたのか。その答えは楓が傘を忘れていってしまったから届けようとしたそうだ。
確かに楓は自分のことになるとやけにドジッ子になるから十分に考えられるようなことだ。まぁ実際さっき麻弓とそそくさと帰ったからな。
「それにしたって、プリムラも傘差してこなきゃ意味ないだろ?」
「……稟だってびしょびしょ……」
確かに俺もびしょ濡れになってはいるが、こうなったのはプリムラを探している時に濡れただけで、ずっと外に出ていた訳ではない。
しかしプリムラは楓に傘を届けるために長い時間外に出ていたため、風邪を引いてしまわないか心配だ。
「俺は良いんだよ、プリムラが風邪引いたらそっちの方が……」
俺は振り向いた先に映ったプリムラの胸元を見て、思わず言葉を失う。雨で濡れたことにより白い服が透けて、女性にとっても一、二位を争うくらい大切な所の先がもろに見えていたのだ。
当然プリムラ自身は自覚がないらしいが、俺のような男にとっては見ているだけで恥ずかしい。とにかく俺が羽織っていたブレザーの上着をプリムラに着せることに。
つまりは今度の買い物リストに入れる必要があるようだ。見えた限りでは必要ないサイズでは無いだろうし。
次の休日にブラを買う予定が入ったわけだが、この日も何かが起こる、そんな気がした。
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