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SHUFFLE!-Only good days-
一緒に帰るか?



「止まないとは思っていたが……出来れば止んで欲しかった」


 午前中に降り出した雨は、先ほどよりも脅威を増し、いぜんとして降り続いていた。今日は掃除当番もないし、早く帰れるものだと思っていたが、こんな日に限ってコレだ。

 まったく、梅雨なんかさっさと終わればいいのに。それに雨を好きな奴なんて絶対に根暗で陰鬱な奴に決まって――


「稟くん稟くん、雨だよ雨♪ わーい♪」


 すまない、ここにいました。根暗で陰鬱な奴とは似ても似つかない天真爛漫な元気っ子の美少女がここにいました。

 何かシアに俺の頭の中の精神的概念を完璧に覆されたような気がする。父親に似て、シアも変わり者である。


「で、シアは雨が好きなのか?」


「うん♪ 傘持ったまま外を歩くなんてウキウキするし、お空を飛びたい気分になるのに」


「ま、それで傘忘れたとか言ったら面白いんだけどな」


「あ……」


 俺がその話を切り出したとたんにシアの表情がみるみる真っ青になっていく。どうやら図星のようだ、言ってる端からこれか……シアの将来が思いやられるな。

 でもそこら辺は神王のおじさんが何とかしてくれそうな気もする。それより問題はこの後か、シアを一人で帰すわけには行かないし……ちょっと狭くなってしまうが二人で帰ることにするか。


「シア、何なら一緒に帰るか?」


――…


「ごめんね稟くん」


「俺は構わないけどな、シアが風邪でも引いたらとんでもないことになりそうだし……」


 実際風邪でも引かれたらとんでもないことは起こってしまうだろう。神王様が多分世界の半分を潰すみたいな……そんなことさせるわけには行かないし、まず第一にシアに体調を崩されたくないといったのが俺の願望だ。

 幸い段々と雨の強さは弱まってきているし、何とか無事に済みそうだ。


「あ、稟くん右肩……」


「ああ、これか。気にするなってこのくらい」


 シアが言いたかったのは、降る雨によって俺の右肩がぐっしょりと濡れてしまっていることだ。

 俺自身もさっきから冷たいとは思っていたものの、さほど気にするようなものでは無かったためにそのままにしていたのだが、シアには気が付かれか。


「じゃあさ稟くん」


 俺が振り向こうとした瞬間、シアは俺の左腕を自らの胸に引き寄せた。確かにこれで俺の肩が雨に濡れることは無くなったが、理性が保つことが出来るかだな。

 一方シアはというと、人懐っこい笑顔を浮かべて俺のことを見つめる。すみません、いくら俺が優しいとは言われても男です。理性の限界というものが存在します。


「♪」


 まぁシアはまんざらでもないみたいだがな、というよりむしろ喜んでいる。

 俺は微妙な火照りが顔にある中、家へと帰った。

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