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SHUFFLE!-Only good days-
夕飯という憩いの場



 医者に見てもらった結果、軽い打撲のため一日、二日ゆっくりとしていればすぐに治るだろうとのことだった。本当にいつもはしっかりしているのに、時々ドジを踏むものだからちょっと心配なところもある。取りあえず軽い怪我で何よりだ。


「楓……大丈夫?」


 これにはさすがのプリムラも心配のようで、包帯で巻かれた楓の足をジッと見つめる。そういえばプリムラがこんな表情を見せるのは初めて、まだ笑顔は見たことがないため、いつかは拝みたいものだ。それだけじゃない、プリムラがもっと心を開いてくれることが俺が一番望んでいることだ。それはもちろん、今まで以上に大きな声でしゃべり、友達とも誰とでもしゃべれるようになることを意味する。


「それで、だ……さすがにその足で夕食作るのは大変だから今日は俺が作るよ。楓には早く元気になってもらいたいし」


「稟くん……」


 嬉しそうな表情の反面どこか寂しそうな楓の顔。自分の怪我で俺に迷惑をかけたことが、許せないのか俺には分からない。だってそれは楓自身の気持ち、俺がどうかしていいようなものじゃない。


「さて、作るとしますか」


 ひとまず台所に行き、冷蔵庫の中身を確認する。買い物に行ってきたばかりのため食材は豊富にあるが、ここではしっかりと節約して作らなければ。


――…


「よし、出来たぞ」


 料理をしてから一時間後、机の上にいくつかの料理が並べた。まぁカロリー計算も問題ないし、味も問題ないはずだ。俺はこう見えてもそれなりに料理は作ることが出来るし、一人暮らしをしていた時は毎日自分で料理を作っていたぐらいだ。

 さすがに楓ほど上手に作れる訳じゃないが、これだけ作れればさほど問題は無いんじゃないだろうか。


「稟くん……凄いです」


「稟、意外」


 プリムラさんの評価は意外らしいです、はい。最近の男子は料理をするような奴らは減ってきたし、女子でも料理しないという人もいるぐらいだ。

 でもさすがにその評価は気落ちするよな、いくらプリムラとは言えども。いや、逆にプリムラだから尚更なのかもしれない。


「ま、食べてみてよ。味は保証する」


 楓は俺の作った料理を口に運ぶ。食べた後に現れる笑顔は美味しいという証拠、楓は他の料理にも手を伸ばし始める。一方意外だと評価したプリムラも俺の料理に舌鼓をうっている。

 でも俺は美味しそうに食べてくれる二人の笑顔が嬉しくてたまらなかった。


 そして数十分後、テーブルの上に並べられた皿はものの見事にすべて空となり、俺は片付けを始めたのだが、芙蓉家に突如として大声が鳴り響く。


「稟殿ぉ!!」


 忘れようとしても忘れられない力強く、迫力のある声。その声の正体は姿を見なくてもすぐに分かった、なぜならそんな人は近くに一人しかいないから。


 結局この後俺はひどい目に遭うわけだが、そこは想像にお任せしよう。

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あきゅろす。
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