SHUFFLE!-Only good days-
やりたかった
「それは良いけどこれからどうする? まだ時間はあるけど……」
「あっ、それなら」
シアは何かを思い出したのか再び俺の手を取り、どこかへ向けて走り出した。
この時間となるともう行く場所は限られてくる。レストランなどの飲食店は考えられるとしても、さすがにアトラクションがメインの遊園地はないだろう。
他に考えられる場所はスーパー、俺的にはここが一番考えられる場所なのだが実際のところまだ分からない。
「ちょっ……シア! どこへ行くんだ?」
もう俺の声なんか聞こえていないのか、何か一つの場所に向かって走り続けるシア。映画とか番組でこんなシーンがあると、爆○○ランプのRunnerでも流れそうだ。
それにしても疲れた……今日一日でかなり全力疾走しているため、もう足腰は筋が張ってパンパンである。
――走ること十数分、たどり着いた場所はまるで予想していなかった国立バーベナ学園だ。
シアのことだからてっきりスーパーのタイムサービスや大安売りにでも駆け込むものだとばかり思っていたが、俺の予想を遥かに反していた。
「ごめんね稟くん、走らせてばかりで」
「ああ、俺は別に構わないよ。逆に自分の運動不足を身にしみて感じているところさ……」
クスクスと笑い声をあげるシア、ともかく俺とシアは学校内に入ることにした。シアの場合夜の学校などは怖いとは思わないらしく、逆に水が落ちてくるだとか古典的な方が怖いらしい。
空高々に出た月が教室内を照らし、何とも風流さを感じさせる国立バーベナ学園。月は七月に変わろうとしているがまだまだ梅雨の湿気が残っている。
「夜の学校って俺は好きだな、何か落ち着くっていうか……」
「へ〜そうなんだ♪」
「で、何でここに連れてきたんだ、何か理由があるんだろ?」
シアは俺の切り返しにペロリと舌を出した。別に嫌だという訳じゃないが、どうも気になって仕方がない。だがそれよりも休日の学校に理由もなしに行くだなんてそれこそ考えられるものじゃない。
「稟くん、するどいッス」
「いや、普通は気がつくんじゃないか?」
するとシアの顔が急に赤くなった。何を考えているのだろうか、俺の方へと歩み寄ってくる。その刹那、シアの体は俺の体に預けられた。
柔らかな体と、シアの温もりが俺の体へと伝わってくる。俺は改めて女の子の体の小ささを知った。もちろん女の子全員が小さいわけじゃないが、ほとんどがシアぐらいの身長で、男のような身長をもった女の子はそうはいない。
「ってシア!? 何やってるんだよ」
「本当は入学式の時にやりたかったんだけど、出来なかったから……」
そういえば転校してきた後の昼休みに言ってたような気がしないでもない。俺自身は今週ほど忙しいことは今までには無かったし、それこそ一週間も前のことなんて覚えていない。
でも、シアがやりたいというなれば俺は別に構わない。それにこれはこれで悪くは無かったし……
「稟くん?」
「あ、いや悪い。それじゃ帰るか」
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