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SHUFFLE!-Only good days-
シアの笑顔



「はぁさんざん歩いて、来たのは公園か……」


「良いんじゃない? ジュースなら安上がりだし♪」


 喫茶店では亜沙先輩と鉢合わせ、ほかの場所では樹を含めた親衛隊に邪魔され、結局最終的にたどり着いたのが公園だった。
 亜沙先輩もカレハ先輩に引き続く危険人物だし、麻弓なんかの耳に入ったら最後、パシリ一週間じゃ済まないそんな気がする。
 缶ジュース一本なら確かに安上がりだけど、どことなく物足りない気がするしデートというより、むしろ単なる友達づきあいのような感じだ。
 しかもさんざん歩き回った末の公園デートほど寂しくむなしいものは無い。


「でもシアの場合はもっと……」


「どうしたの?」


 俺たちが今座っているベンチから二十メートルぐらいの距離に噴水があるのだが、ちょうど噴水の前で一人の女性をナンパしている不良っぽい男たちがいた。
 女性はおそらく俺たちと年が同じくらいで、男たちは嫌がるのをよそに強引に連れて行こうとする。さすがにこればかりは男として放っては置けない。


「シア、ちょっと待っててくれ」


「えっ、稟くん?」


 さて、勢いよく啖呵は切ったけどどうやって助けようか。無理やり止めようとすれば女性にまで危害が及ぶかもしれないしどうしたものだろうか。ここは落ち着かせてなだめるべきかもしれない。


「よせよ、嫌がってるだろ?」


「あぁ? 何だテメェは!?」


「俺はコイツの彼女だよ、何か文句あるか?」


「チッ、男いるならいるって言えよな!」


 男たちは愚痴をこぼしながらもぞろぞろと引き上げていく。取り合えずは一件落着といったところか、まぁ出任せの嘘がこうまで効くとは思わなかったしあの男たちがあそこまでバカだとは思ってなかった。俺の場合樹が基準となってるから逆にそう思うのかもしれない、もっと言えば樹ほどナンパに長けた奴はいないのかもしれない。
 助けた女性も無傷だったみたいだし、結果オーライになったから良しとしよう。


「すまないシア」


「ううん、いいの! 私は稟くんと一緒にいられるだけで嬉しいから♪」


 俺はシアの笑った表情に一気に惹かれた。お世辞じゃなく、一人の女性として本当に可愛いと思った。
 シアのこんな顔は始めて見たのかもしれない。今の顔は普段笑っているような顔よりも、何倍も可愛く見えた。

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