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SHUFFLE!-Only good days-
デートコースはドコにする?



「そーだそーだ、何の心配もいらないからドーンと行ってこい!!」


 早い回復力だよな、さっきまで頭から血を流して気絶した人とはまるで思えない。それも騒いでいるところを見ると、底知れない回復力を思わせる。このおじさんには病院という名の医療機関は無くても別に困らないだろう。
 さて、デートをすると決めたは良いがどこへ行こうか。こういう時はシアの意見を尊重するべきかもしれないな。


「シアはドコへ行きたい?」


「えっとね、商店街の近くのスーパーでトイレットペーパーの安売りが……」


 シアは手に持っている広告を見てうきうきした様子だが、それを後ろから伸びてきた手が取り上げた。
 確かにデートコースにスーパーを入れる奴はいない、多分イマドキの子で入れるのはここにいるリシアンサスという少女だけだろう。
 おじさんの意見は確かに間違ってはいないが、まともな意見を言ったのはたぶんこれが初めてに思える。今まで言ってきたことは明らかにおかしい物ばかりだとは思っていたんだけどな。


「……じゃあ普通のデートコースってどんなのですか?」


 今度はシアが切り返す、意表をつかれた質問におじさんもタジタジしている。考えて出てきた答えは、競馬にパチンコ行ってトドメに居酒屋に行くのが流行りだという、まさに典型的な親父くさいコースがおじさんの口から出てきた。
 まぁあながちそこら辺にいるような親父さんたちのコースだったら間違ってはいないが、俺やシアみたいな若者にしてみればとても思いつかないようなコースだ。
 結局のところどちらの意見も参考になっていない、やはり俺が決めるしかないのか。そう思った刹那、俺の右手は急に引かれた。


「こうなったら二人きりでデートコース決めよう!」


 不意をつかれた俺はもつれそうになる足を懸命に動かしながら、シアの向かう先に歩を進める。
 結局数分走り、おじさんをまいたところで足を止めた。こうでもしなければおじさんは後をつけて来かねないから、これが賢明な判断だろうな。
 しかしたったこれだけ走っただけでここまで疲れるとは体が鈍っている。シアも息を弾ませているがシアは女の子だ、女の子に負けているようじゃ俺もまだまだだな。


「で、どこに行きたいんだシアは?」


「うーん、稟くんにお任せするッス♪」


 言い忘れていたがシアはたまに体育会系の奴みたいに語尾が『〜ッス』となることがある。
 さて、これからどうしようか。デートの定番と言ったら映画だと思うけど、今俺の財布の中身はCDと靴で若干寂しくなっているし、遊園地やテーマパークなんてのはもってのほか。
 他には海だとかプールだとかもデートコースには含まれているけど今は時期じゃないし、第一水着を持ってきていない。
 現在かなりデートコースは狭くなっているが、それでもどこか良いデートコースを見つけなければ。


「それじゃ、あそこに行ってみるか」


「?」


 シアは俺の声に首を傾げる。俺が行こうとしているのは定番コースの一つでもある喫茶店だ。
 喫茶店は比較的多くの場所に点在しているし、来る人も多くて気分が安らぐ。他にも定番はあるだろうがまずはここだろう。


 俺はシアを連れて喫茶店へと急いだ。

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あきゅろす。
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