SHUFFLE!-Only good days-
心休まる日
「ふぁ〜あ……」
今日は週末の日曜日、国立バーベナ学園は土曜日も授業がある週六日の学校だ。そのために休日は少なく、心休まる日は少ない。
日曜日は唯一の安息日でもある、ハズなのだがこの日だけは学校へ行く時よりも三十分ほど早く起きてしまった。特に熱があるわけでもないのだが無性に寝れないのだ。
だが寝起きは良かったから早く起きて体でも動かせってことなのだろう。
「ん〜おはよ……楓」
「あ、稟くんおはようございます」
まさに最高の目覚めというものだな、起きてはじめに見る顔が浮浪者みたいな奴だったらかなり引くけど、俺が朝一番に見るのは極上の美少女だ。
まぁそうはいっても特にあれこれしたいというような願望はない、当然なことだがセクハラなんて出来るはずがない。
「あぁそうそう、ちょっと今日一日出掛けてくる。夕飯までには帰ってくるからさ……」
「分かりました♪」
にこやかな笑顔で答える楓、こういう時幼なじみって良いなと思う。
ただ幼なじみでもここまで気が利く優しい幼なじみはまずいないだろうと俺は思う。
「それじゃ、行ってくる」
「気をつけてくださいね」
何かこういうのって結婚した夫婦みたいで嬉しいね。親衛隊がこの状況見たら何て思うだろうか、下手すれば一瞬で俺の命は消え去るかもしれない。
だが考えられないことではない、今まで死にかけたことだって何度かあるしな、もちろんそれは全部親衛隊が絡んでいる。
とはいえ今日は楓やシアやネリネとは一緒じゃないし、即死だけは免れそうだ。
さて、そうとなれば善は急げだ。休日という大切な時間をただ無駄に過ごすだなんてもったいないことは出来ない。まずはどこから行くべきか悩むところだが、今回一番最初に行きたいのはCDショップだ。理由としては深い理由はなく、ただ自分の好きなアーティストの新曲が出たから買いに行くというだけだ。
どのアーティストが好きかって? まぁ好きなアーティストはいくらでもいるけど今日買いに行くのは○'Arc ○n ○ielのニューアルバム。
結構昔から存在するロックバンドのグループでレコード大賞っていうテレビ番組でも賞を取ったこともある人気アーティスト、これはオススメが出来るね。
「おっ、あったあった♪」
俺はCD棚から一つを抜き出すとそのままレジへと持って行った。今日は午後はゆっくりと過ごしたいため、欲しい物は午前中にさっさと買う予定でいる。
他に欲しい物は靴だ。再び成長期に入ったのか止まった身長が最近になってちょっとずつ伸びだしたのだ。当然それに伴い足のサイズも大きくなる。懐は寂しくなってしまうが仕方がないことだ。
――…
「取りあえず欲しい物は全部買えたし今日は良い日だ、まぁここ最近神王と魔王のおじさんたちのお陰で休む暇なんかほとんどなかったし……」
「俺が何だって、稟殿?」
「!?」
突如後ろに現れた筋肉質の男、それはシアの父親のユーストマだった。もしかして今のこと全部聞かれたんじゃ無いだろうな、というより何でおじさんがこんなところにいるんだ?
「ちょっどよかったぜ稟殿、今日シアとデートしてくれないか?」
「ハ、ハァ?」
あまりにも急で場違いな言葉に思わず俺は滑る。出会い頭に会っていきなりデートしてくれだなんて一体何をお考えのようで、それにおじさんの勝手でそんなこと言っているならシアに迷惑かけることになるし。
「いや、急に何を言って……」
「な、稟殿は俺の一生の頼みを聞けねぇと!?」
あーいけない、おじさんが勝手に妄想タイムに入ろうとしている。というより半分入りかけている。
「こうなったら指を詰めてでも……」
って何をやっているんだこの人は、そんなことされたら俺は断る権利はなくなる。さらに周りからは嫌な目で見られる、だがもう実際に見られ始めている。
何を言っても聞く耳を持たず会話を進めていくおじさん、俺にもはや為すすべはなく、強制的なデートに了解を出そうとした時だった。
「お父さん!! 稟くんに迷惑かけないで!!」
振り下ろされた椅子はおじさんの頭に見事にクリーンヒットし、その場に倒れ込む。頭から血を流して倒れている現場は、まるで殺人現場のようになっている。
こんなことが出来る人物は一人しか知らない、いや一人しかいない。
「ごめんね稟くん、私が稟くんとお出かけしたいだなんて言ったからお父さんが暴走しちゃって……」
「シア、良いんだけど、その格好は一体?」
休日であるためシアももちろん私服なのだが、その服装は俺にしてみれば結構ラフな物だった。
上着は肩の部分がまるまるあいていて、スカートはかなり短く、ジャンプでもしたら中の下着が見えてしまいそうだ。
「え? なんか変だった?」
「いや、むしろ似合いすぎなぐらいだ。とにかくデートはおじさんの独断じゃなかったんだな?」
それに対してシアは首を上下に振る。まぁおじさんの独断だったなら断るつもりだったけど、シアがしたいのなら断る義理はない。
シアがしたいと言うのに断ったらそれこそおじさんに殺されかねない。
「なら良いぞ、シアの希望ならかまわないさ。さっきはおじさんの独断かと思ったから」
俺の返事が予想外だったのだろう、シアは顔を赤くしながら笑みを浮かべる。
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