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SHUFFLE!-Only good days-
極めつけは……



 何とか午前中の授業を乗り切った俺は机の上でぐったりしている。今日の朝の出来事で自分の寿命が三年縮まってしまった感じだ。
 俺にとってこの昼食の時間が唯一落ち着くことが出来る時間なのかもしれない。


 弁当をカバンから出していると樹が俺の所にやって来た。後ろにはシアとネリネもいる、つまりは一緒に弁当を食べようという魂胆か。まぁあの親バカの二人が居なければ特に問題は無いだろう。
 二言返事で答えると、全員で屋上に出かけた。屋上は比較的風通しもよく、場所も確保しやすいのでまさに昼食にうってつけの場所とも言える。 もちろん冬になったら屋上での昼食はしないけどな。


「そういえばシアちゃんとネリネちゃんって、八年前に土見くんと会ったきりなんだよね。もっと『稟くん会いたかったー!!』みたいなことしたかったんじゃないの?」


 またコイツは余計なことを……。話を切り出したのは麻弓、興味のあることは何でも知りたがるクラスのパパラッチ娘的な存在でもある。
 先ほど言ったとおり雑学に関してはずば抜けた知識を持っているのだが、勉強に関する知識はからっきしダメで、テストなどの補修は常連になっている。
 俺も悪い教科と良い教科のムラがかなり激しいがコイツには点数で負けたいとは思わない。というよりも負ける気がしないといった方が正論かもしれない。


「うん、本当はすっごくしたかったんだけど……」


「あの場でそんなことをしたら稟さまに迷惑がかかると思いまして……」


 その発言に思わず俺は顔を赤くする。それを悟ったある人物は俺に殺気満々の笑顔で話しかけてきた。


「羨ましい限りだね稟、殴って良いかい? 天よりも高く」


「お前マジだろ? 却下だ」


 コイツはだめだ顔を縦に振れば即座に実行するだろう。相変わらずの笑顔でこちらを睨みつける樹、それにかまわず話を続ける麻弓。


「じゃあ結婚するとしたらやっぱり土見くんが良いのかな?」


「うん♪(はい)」


 二人ともすでに決めてでもいたかのようにさらっと答える。これには周りの男子までもが俺を殺気むんむんの目つきで睨みつける。


「だってさ楓、ライバルが増えちゃったね」


「ま、麻弓ちゃぁん……」


 かなりテンパった様子の表情を浮かべる楓もまた一段と可愛く見える。 目線をシアとネリネに向けると二人とも笑顔で返してくれた。
 うれしいといえばうれしいが、周りからの殺気が先ほどよりも密度を増しているような気がする。


「稟……」


「うるさい黙れ、断じて却下だ」


 本当にコイツもいつになったら成長するのだろうか、見かけはカッコ良く、男らしく見えるのに中身は小学生並と来たもんだ。俺にはもう手に負えないよ……。

 結局嫉妬、殺意におびえたまま俺の昼休みは終わった。正直に言おう、誰か俺に休みをください。少しだけでも良いですからゆっくりできる時間をください。


――…


 その後、全授業を終えた俺と楓は帰ることに、休み時間や昼休みまで俺の休憩時間が無くなっては俺の身が持たない。
 すると校門の前にはシアとネリネが俺が来るのを待っていた。さすがに帰りまでは邪魔されないだろうがやはり油断はならないね。
 しかし俺が思っていたこととは裏腹に、誰も邪魔をしたり追いかけてきたりはしなかった。逆に嵐の前の静けさみたいで怖い。


 家の前に着いたは良いがシアとネリネは未だに俺と楓の後ろについていた。


「二人とも家はどこなんだ?」


「私はあっち」


「私はあちらです」


 シアは楓の家の右隣をネリネは左隣の家を指差す。それは最近建てられた豪邸だったのだ。


「お、お隣さん……」


 これはとてもじゃないが四苦八苦どころでは済まなさそうだ。

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あきゅろす。
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