SHUFFLE!-Only good days-
お約束だな
「今日の県内は、気圧の影響により午後から雨、ところにより雷を伴い激しく降るでしょう――」
いつもより三十分ほど早く起きた俺はコーヒーを飲みながら、天気予報を見ている。あれから五日が経ち、ようやくいつもの静けさが戻ってきた。
二人の婚約候補に選ばれたって言われたときはどうしようかと思ったけど、まぁ俺は今すぐ決めれる訳じゃないし、好きな人が出来た訳でもない。まぁゆっくりと決めさせてもらうかな。
「稟くん、コーヒーのお代わりはどうですか?」
「ん? もう良いよ」
しかし朝の休息もあっというまだった。
「稟殿ぉ! 学校へ行こう!」
唯一変わっていないといえば毎朝の学校へ行くお誘いだ。朝早くに大声での誘いは勘弁してくれと言っても、隣がおじさんたちの家だから俺は何も言い返すことができずにいる。
別にシアとネリネと学校に行くのが嫌だというわけではないのだが、これだけは何とかならないものだろうか。
「朝早くに大声はやめてくださいって言ったじゃないですか」
「隣近所が文句でも言ったか?」
「隣近所はおじさんたちの家でしょうが……」
一つため息をつき、気持ちを落ち着かせる。もう正直諦めた、もう言っても意味がない……。
それよりも言うこちらがバカに見えてくる。
「家が隣同士で学校が同じとなれば、一緒に学校へ行くのは当然。朝のお誘いも当然さ」
これもお約束の展開で、異様に説得力のある魔王のおじさんの言葉に何も言い返せなくなる。俺はどうしたら良いのだろうか、この場合俺の拒否権はゼロだ。
結局何も言い返せずに俺はオーケーを出す。進歩がないな……
「あの日以来ネリネちゃんの小さな胸の中でずっと思いを温めて来たんだ……あ、小さなって言うのは例えだよ。ネリネちゃんのサイズは決して問題ない、立派なものさ」
いきなり語られてもどう受けたら良いのか困る。まぁ確かにネリネの胸は大きい……って何考えているんだよ俺は! まだ俺は恋愛には興味がないし、好きな人も居るわけじゃないんだし。
まぁ確かにシアやネリネや楓のことは好きだけど恋愛対象って訳じゃないしな。あくまでも友達としての好きだからやはり心の底から好きだっていう人はいないな、うん。
すると今度は神王のおじさんが話を切り出す。まぁ大体は予想が付くけどな。
「ちょっと待てよまー坊、うちのシアだってな決して小さくはねぇぞ。むしろ発展途上、これからが……おぶっ!?」
「ああ、神ちゃん!?」
後ろから振り下ろされたパイプ椅子で、おじさんは地面に倒れ込む。その速さは高速を凌ぐ音速のようなスピードでの攻撃で神王のおじさんはなすがままであった。
神王のおじさんが倒れると同時に甲高い声が響き渡る。
「もう、朝から恥ずかしいじゃない!!」
もうお約束の光景なのかもしれない、倒れたおじさんの後ろには両手で椅子を持ち、顔を真っ赤にしたシアがいたのだ。
相当恥ずかしかったのだろうか頬をぷぅっと膨らませる。
「シアちゃんやり過ぎ……」
そしてシアの横に魔王のおじさんの娘、ネリネの姿もある。ようやく落ち着いたシアは苦笑いでその場をごまかそうとした。
「ハァ……」
まぁこういうところがシアの家族らしくて良いんだけどな。
[進むッス♪#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!