SHUFFLE!-Only good days-
カレハの妹、その名をツボミ
「──ったく麻弓の奴。ちょっと無視しただけでこの仕打ちはないだろうが!!」
買い出し係、それが実はとてつもなく大変で嫌な仕事だったと今気がついても遅かりし、とかいう名言がよく似合いそうなほど男にとっては嫌な仕事をしている。レースやリボンまで買わせやがて……。
店員の女性には多分失望されたな。実際顔を赤くして何も話さなかったし。まぁ何で顔を赤くしたのかは分からないけど。
「まぁ隣町だからそうそうに知人には会わないだろうな、後で樹死刑だな」
「あら? 俊樹さん?」
「ん? あ……」
どこかのんびりとしたこの口調。ネリネのおしとやかとはちょっと違った雰囲気を醸し出していたのは。
「カレハ先輩?」
「はい、こんにちはですわ♪」
「あぁ、こんにちは。カレハ先輩はこんな所でどうしたんですか?」
「ちょっと早いですけど、妹と冬服の買い物に来たんです。備えあれば憂いなしと言いますし」
妹? あれ、カレハ先輩って妹なんていたのか。てっきり一人っ子だとばかり思っていたのにな。
──健全な男子たるもの、美少女に妹がいると知るとどうしてこうもその容姿を見たくなるのだろうか。
「おねーちゃん、お待たせしました……あれ、そちらの人は?」
「ツボミちゃん、こちらの方が新しく転校してきた鵜飼俊樹さん」
「初めまして、ツボミって言います。いつもお姉ちゃんがお世話になっています♪」
「初めましてツボミちゃん」
カレハ先輩ゆずりのかわいらしい容姿。しかしカレハ先輩のようなおしとやかさはなく、どっちかといったら元気さが目立つ活発な女の子だった。
「それじゃあ、俊樹おにーさん、で良いですか?」
「ふむふむ、おにいさん、か……」
今までに言われたことのない呼び方だけに少しくすぐったい感じもするけれど、問題はないだろう。むしろわずかながらもトキメキのようなものを感じてしまうのは、やはり初めての感覚のせいなのだろうか。
「ああ、構わないよ」
「きゃあ♪ よろしくお願いしますね、俊樹おにーさん♪」
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