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アーシス 〜the Guardians〜
通り魔
5月中旬 小崎市

とある住宅街を黒いコートを纏った少年が歩いていた。

「たくっ、何で俺が夜警をするはめになるんだよ!」

小崎市魔導対策課に所属する高須昴である。課の同僚が、急な用事で出かけてしまったため、課長に頼まれ仕方なく、これを引き受けた次第である。

時刻はすでに午後10時近い。10分程前に歩いていた、賑やかな駅前の繁華街と違い、辺りは車や人通りは無くしんとしている。

「それに、『最近周辺の街に通り魔が出て住民が困ってるから、もし出会ったら捕まえて下さい』って、それは警察の仕事だろうが昼行灯のお人好し課長!」

そう愚痴を呟きながらも、昴は夜の街の巡回を続ける。

その時、彼の背後の路地から闇に紛れてローブを被った、人影がゆらりと現れた。身長と体のシルエットから、その人影は男のようだった。

昴は背後から感じる殺気に気付いて、立ち止まると振り向いた。

「おいおい、まさか通り魔出現か?」

「………」

男は無言で昴に近付きながらローブの袖から、抜き身の状態のナイフを取り出す。これを見た昴も、腰のホルスターから銃を抜く。シリンダーには、火薬の量を減らした非致死性の弱装ゴム弾が装

填されている。

「ちょうど暇だったんだ、相手してやるぜ!」

昴が素早く男に狙いを定めて引き金を引いた。銃口から放たれたゴム弾が、空気を切り裂きながら、一直線に男に飛来する。

だが銃口の向きから予測したのか、男は弾丸の射線から体を逸らす。さらに、常人では有り得ない速度で昴に接近すると、ナイフを彼に向かい突き出した。

「ちっ!」

咄嗟に銃身で刺突を受け止める昴。その反動で後方に吹き飛ばされるが、すぐに体勢を立て直した。

「普通の人間かと思ったら、魔法で体を強化しているのか。なら、本気で相手してやるぜ」

そう言うと、昴は対魔法使用者・幻獣用の魔法弾を撃つことができる、特殊なシリンダーを換装する。

「腕の1本くらい覚悟しろよ」

「………」

「けっ、黙ったままかよ」

夜の閑静な住宅街に、再び発砲と斬撃の音が響き渡った。

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あきゅろす。
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