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アーシス 〜the Guardians〜
敗北
施設内部 医務室

昴と茜は、数分前に捉えた襲撃者の1人、ベルナルドを医務室に運び込んだ。今は、琴音と葛城を加えた4人で、彼から聴取を行なっている。

「それで、さっきから聞いている、お前たちの正体とここに侵入した目的は何だ?」

琴音が足に包帯を巻き、魔法を行使できないように封印術の施された紐で、拘束された壮齢の男に尋ねた。だが、彼は黙秘を続ける。

「所長、俺の能力で電気椅子にでもやりますか?何か話すかも知れませんよ」

「いけません!それは規則違反ですよ、兄様!」

茜が掌の上に、紫色の雷球を作り出した兄を、大袈裟に制止する。その本気染みた演技を見ても、ベルナルドは顔色を全く変えなかった。

「こんな所で、私の相手をしていてもいいんですか?ユイ様は、わたしが比にならない程の氷結能力の使い手ですから…」

ベルナルドが不敵な笑みを浮かべながら呟く。

「葛城、すぐに監視カメラでこいつの仲間を探せ!」

琴音の指示を聞いて、葛城が部屋にあるパソコンに向かい、IDとパスワードを打ち込み、監視カメラの映像に切り替える。すると、ある映像に槍が刺さり血塗れになっている鈴と、見慣れぬ少女の姿があった。

「高須!すぐに第2雑庫前の通路に行け、早くしろ式嶋が死ぬぞ!」

葛城の尋常とは思えぬ様子に、昴と茜は医務室を飛び出して、カメラのある通路へと走った。

一方、医務室に残った琴音は、仕方ないという表情をすると杖を取り出す。そして、ベルナルドにある魔法を掛けた。

「さぁ、これ以上進展が無いというのもな。警察が来るまでの間、知っていることを洗いざらい話してもらおうか」

「はい…分かりました」



施設内部 通路

鈴は槍を体から引き抜かれると、前のめりに倒れ込んだ。通路の床が瞬く間に鮮やかな赤に染まる。

「ごふっ…」

鈴の口から再び鮮血が溢れた。そんな彼の様子を見て、ユイは槍に付いた血を払い、その場を後にしようとする。

「…ちょっと……待て…」

「動かない方がいいよ。心臓は外しちゃったけど、かなり出血してるから、無理して動くと死んじゃうよ」

「…このくらい……」

鈴は、手元に落ちている刀を握り、それを杖代わりにして立ち上がる。彼の意識は辛うじてある程度で、能力によって作られて刀身は中ほどまで折れており、細かな亀裂が全体に入り始めていた。そんな状態でも刀を、ユイに向けて突き付ける。

「もう少し……僕と…いてもらう!」

鈴は両手でしっかりと柄を握り、中段で突きの体勢をした。だが、ユイはその場を微動だにしなかった。

彼女の胸の刀身が突き立てられる。

が…その瞬間ガラスが割れるような音と共に、刀の漆黒に光る刀身が粉々に砕け散る。残ったのは、鈴が握り締める柄と鍔だけだった。

鈴自身も全身の力が抜けたかのように、ユイの体に寄り掛かった。

「……くそっ…」

「だから、動くなって言ったのに」

ユイは、鈴の体を支えると彼を床に寝かせた。

「何で…殺さない?」

「だって、レイ君って強いもん。だから、今殺すのは何か惜しいし。それに今…誰かがここに走って来てるしね〜」

そう言うと、彼女は空中に浮く透明な物体を手に取った。それをポケットにしまい、無数の足跡がする方を向く。

すると、通路向こうから銃を構えた昴と茜が疾走して来た。

「鈴から離れろ!お前の仲間はもう捕まった、お前も武器を捨てて大人しく捕まれ!」
「ベルナルド、捕まっちゃったんだ。それなら…」

その瞬間、ユイが槍を鎌に変化させて、彼女の横にある壁に斬撃でぶち抜く。

「私もう帰るから!レイ君、またいつかね!」

「くそっ!茜、早く鈴を医務室に連れて行け!」

そう言い残して、昴は壁の穴から外に出て、ユイを追跡した。

鈴が、覚えているのはここまで、その後すぐに意識を失ってしまった。

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あきゅろす。
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