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アーシス 〜the Guardians〜
所長
翌日 東京

鈴と沙夜は、新幹線と在来線を乗り継ぎ目的地の近くにある駅に降り立つと、静音に指示されたように駅の南口に向かった。

すると、外にはそこには1台の乗用車とスーツ姿の男が2人を待っていた。

「式嶋さん、浪川さんお待ちしておりました。私は、所長の秘書をやっている長谷(はせ)と申します。どうぞ、お乗り下さい所長がお待ち兼ねです」

長谷はそう言って、彼らを車に乗せると施設に向かって発車させた。



彼らの行くことになっている施設(正式名称.国立都市魔導防衛員育成所)は、駅から少し離れた場所にある公園に、隣接するように造られている。そこでは、適性検査によって選出されたアーシスの候補生たちに普通教育以外に、“幻獣”と戦うのために必要な魔法や格闘術、武器の扱い方を教えている。

そして、候補生たちは中学3年の夏にある最終試験後、主に各自の実家がある街やその周辺の魔導対策課にアーシスとして配属され、任務に従事することになっている。



数分後

彼らを乗せた車は、守衛が立つ門を通過して敷地内の2人が、見覚えのある建物の前に止まった。

「半年ぶりよね」


「そうだな」

鈴と沙夜は、男から荷物を受け取ると彼の先導で、所長室へ歩き出した。そして、建物2階にある“所長室”というプレートが掛けられている扉に辿り着く。

「瑞穂市魔導対策課所属、式嶋鈴・浪川沙夜、只今参りました」

「入れ」

扉の向こうから、若い女性の声が返ってきた。

「失礼します」

彼らは扉を開けると所長室に入った。すると、そこには1人の女性が黒い革張りの椅子に座り、煙草を吹していた。



彼女は、朝倉琴音(あさくらことね)。静音の姉であり彼女同様に、凄腕の魔法使いである。そして、ヘビースモーカーで常に煙草などを咥えている。



「久しいな鈴、沙夜。元気にやっているか?」

「あの…所長。何しているんですか?」

沙夜が控え目に聞く。

「見て分からんか?煙草を吸いながらくつろいでいるんだ」

「それは私にも分かりますけど、また何でそんな姿を?」

沙夜はそう言って、椅子に座るイリスと同じ歳程の少女を指差す。

「別にいいだろう?私はこの姿が気に入っているんだ。さて、そろそろ本題に入ろう」

琴音は煙草を消して鈴たちの方を向くと、真剣な表情になった。そして、彼女の口から語られたのは、彼らにとっても衝撃的な内容だった。

「簡潔に言おう、現在のままだと最終試験に5人合格できるかどうかという状況だ。お前たちの代よりも酷いぞ」

「それは…確かに深刻ですね」

「私も同感」

「だから、お前たちは1日半の間教官たちと一緒に、奴等の訓練をしてやってくれ。訓練の開始時刻は午前9時からだ、多少は荒くても構わん」

琴音はそう言うと、鈴たちを案内した長谷に彼らを、宿泊用の部屋に案内するように言う。

「それじゃ、失礼します」

「あぁ、しっかり頼む」

鈴は扉を閉めると、長谷の案内で自分たちが宿泊する部屋へ、向かうことにした。

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